米国のエネルギー市場に激震が走っています。2019年11月26日のニューヨーク市場において、天然ガス先物価格が大幅な下落を記録しました。指標となるヘンリーハブ価格は、100万BTU(英国熱量単位)あたり2.5ドル台半ばまで沈み込み、前週末の終値と比較して5%を超える下落幅を見せています。
今回、価格を押し下げた主な要因は「供給過剰」と「需要減退の予測」という二重苦にあります。まず供給面では、米エネルギー情報局(EIA)が発表した2019年10月のシェールガス生産量が過去最高を更新しました。シェールガスとは、地下深くの岩盤層から採取される天然ガスのことで、近年の掘削技術の進歩により生産が飛躍的に伸びています。
SNS上では「生産量がこれほどまで増えるとは予想外だ」「暖房需要を期待していたが、この供給量では価格維持は難しい」といった驚きの声が相次いでいます。掘削装置の稼働数こそ減少傾向にあるものの、1つの井戸あたりの生産効率が劇的に向上しているため、市場には常に潤沢なガスが供給され続けているのが現状なのです。
異例の寒波から一転、12月の暖冬予報が売りを加速
2019年の米国は例年よりも早く寒波が到来したため、11月上旬までは暖房用のガス需要を見込んだ強気な価格形成が続いていました。しかし、11月25日からの週に入ると状況が一変します。気象予報において、2019年12月中旬は一転して気温が上昇し、寒さが和らぐという「暖冬」の見通しが伝えられたためです。
この予報を受けて、これまで利益を狙って買い持っていた投資家たちが一斉に売りに転じました。いわゆる「利益確定売り」が膨らんだことで、相場の下落スピードに拍車がかかった形となります。天然ガスの価格は、季節ごとの気温変化に極めて敏感に反応する「ウェザー・マーケット」としての側面が色濃く出た格好です。
専門家からも「当面は予報が出るたびに価格が乱高下する、天候に振り回される展開が続く」との冷静な分析が出ています。私個人の見解としても、化石燃料からクリーンエネルギーへの転換期にあるとはいえ、暖房需要という実需に直結する天然ガス市場において、気象データの重要性はますます高まっていくと考えています。
投資家の皆様にとっては、生産統計だけでなく、現地の詳細な長期予報を注視することがリスク回避の鍵となるでしょう。短期的な需給の緩みは避けられない情勢ですが、この調整局面がエネルギー株や関連投資にどのような影響を及ぼすのか、2019年末にかけての動向から目が離せません。
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