自動車業界に再び激震が走るニュースが飛び込んできました。オランダ陸運局は2020年1月23日、日本の自動車メーカーであるスズキと、欧米のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が販売したディーゼル車において、排ガス規制に関する不正行為があったと公表したのです。試験時だけ有害物質の排出を抑えるという巧妙な仕組みが指摘されており、欧州市場の信頼を揺るがす事態へと発展しています。
問題視されているのは、路上での実走行時に規制値を遥かに上回る「窒素酸化物(NOx)」を排出している点です。窒素酸化物とは、光化学スモッグや酸性雨の原因となる大気汚染物質であり、環境や人体への悪影響が極めて高いことで知られています。検査を行う試験台の上ではクリーンな数値を保ちながら、実際の道路を走る際には制御の動きを変化させていたという今回の疑惑は、自動車メーカーとしての倫理観が問われる深刻な内容と言えるでしょう。
ネット上やSNSでも、この報道に対して大きな波紋が広がっています。「また排ガス不正か」「クリーンディーゼルという言葉の信頼性が完全に失われてしまう」といった落胆の声が相次ぐ一方で、「スズキはFCAからエンジンを供給されていたのだから被害者なのでは」という冷静な分析も見られました。国内外のファンが多いブランドだけに、今後の企業イメージや株価への影響を懸念するユーザーが非常に多く見受けられます。
オランダ陸運局は2017年の段階で、スズキの多目的スポーツ車(SUV)である「ビターラ(日本名:エスクード)」と、FCAの「ジープ グランドチェロキー」に不正ソフトが搭載されている疑いがあるとして、調査を開始していました。長年にわたる詳細な検証を経て、今回ついに「不正な排ガス制御が行われている」という最終的な結論が下された形です。疑惑が確信へと変わったことで、当局の姿勢も非常に厳しいものとなっています。
実はスズキが2017年時点でビターラに搭載していた排気量1.6リットルのディーゼルエンジンは、FCA側から調達したものでした。自社開発ではない心臓部に問題があったことは同社にとって不運かもしれませんが、完成車として販売した以上、その責任を免れることはできません。他社製パーツの品質や適合性をどこまで厳格に見極めるべきかという、サプライチェーン(部品供給網)の管理における現代の大きな課題が浮き彫りになりました。
オランダ当局はスズキに対して迅速な是正措置を求めており、もし対応後の車両が基準に適合しない場合、欧州での販売に不可欠な「型式認定」を取り消すと警告しています。型式認定とは、その車両が国の安全や環境の基準を満たしていると認める極めて重要な制度です。これが剥奪されれば欧州市場からの撤退を余儀なくされるため、スズキにとっては企業の存続をも左右しかねない、まさに背水の陣を強いられた局面を迎えています。
筆者の見解として、環境規制が年々厳格化するヨーロッパ市場において、今回の排ガス不正認定はスズキのブランド力に致命的なダメージを与えかねないと危惧しています。たとえエンジンが他社製であっても、自社ブランドを冠して世に送り出した製品への責任は100%メーカーに帰属すべきです。スズキには、ただちに透明性のある情報公開を行い、誠実なリコール対応を進めることで、失われたユーザーからの信頼をゼロから回復してほしいと願います。
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