2019年12月18日、自動車業界に激震が走りました。フランスのグループPSAと、欧米のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が対等合併に正式合意したのです。これにより世界販売台数は約870万台に達し、トヨタやフォルクスワーゲン(VW)に次ぐ世界第4位の巨大グループが誕生します。
SNS上では「名門ブランドが一つになるのはワクワクする」といった期待の声がある一方で、「工場の閉鎖や大規模な人員削減が始まるのではないか」という不安の声が目立っています。華やかな巨大合併の舞台裏で、今まさに欧州の生産現場が揺れ動こうとしているのです。
コスト削減の代償か?懸念される過剰な生産能力の行方
両社が統合によって掲げている目標は、年間約37億ユーロ、日本円にして約4500億円という膨大なコスト削減です。ここで鍵となるのが「プラットフォーム(共通車台)」の活用です。これは車の骨格部分を共通化し、異なる車種でも部品を使い回す手法で、開発効率を飛躍的に高めます。
しかし、この合理化が裏目に出る可能性も否定できません。調査機関のデータによると、両社を合わせた生産能力は年間1400万台規模ですが、現在の稼働率は60%を下回る58%程度に留まっています。販売実績に対してあまりに余剰が大きく、特に欧州内の工場は真っ先に整理の対象となる危険を孕んでいるでしょう。
41万人の雇用を守れるか?自動車業界を襲う変革の波
経営陣は「工場は閉鎖しない」と公言していますが、市場の視線は冷ややかです。両社の従業員数は合計で41万人を数え、世界首位のトヨタをも上回る規模となっています。かつてPSA傘下に入ったドイツのオペルが、すでに数千人規模の削減を断行した前例を見ても、人員整理は避けられない課題となるはずです。
そもそも現在の自動車業界は、100年に1度と言われる大変革期にあります。電動化や自動運転といった次世代技術への投資を捻出するため、世界中のメーカーがエンジン関連の工場閉鎖や大規模なリストラに踏み切っています。限られた資源をどこに再配分するかが、生き残りの絶対条件なのです。
私個人の見解としては、この合併は単なる規模の拡大ではなく、生き残りをかけた究極の防衛策だと感じます。ブランドの個性を守りつつ、いかに冷徹に不採算部門を切り離せるか。2020年から始まる統合プロセスの過程で、欧州経済を支える雇用の維持と革新のバランスが厳しく問われることになるに違いありません。
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