毎日の生活や経済活動に欠かせないエネルギーの動向に、いま大きな注目が集まっています。サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコ社は、2020年2月積みの原油調整金をアジアの需要家に向けて通知しました。その結果、代表的な油種である「アラビアンライト」の価格は、指標価格に対して1バレルあたり3.70ドルの割り増しとなり、2020年1月積みの水準を維持しています。
この調整金とは、基準となる原油価格に対して、品質や需給バランスに応じて上乗せされたり差し引かれたりする調整代金のことです。今回の据え置きにより、アジア向けの原油価格は1年前の5倍を超えるという、驚きの高値圏で推移することになりました。SNS上でも「ガソリン代や電気代がさらに上がるのではないか」といった、私たちの生活への直撃を懸念する声が数多く上がっています。
日本の石油会社がサウジアラビアと結ぶ長期契約では、ドバイ原油とオマーン原油の月間平均値を指標として価格が決定されます。そこに油種ごとの調整金が加減される仕組みですが、現在の高止まりは、主要な産油国による協調減産が引き起こした石油需給の逼迫が背景にあると言えるでしょう。エネルギーを海外に依存する日本にとって、この厳しい需給環境は注視すべき重大な局面を迎えています。
その一方で、すべての油種が一律に高騰しているわけではありません。成分が軽くて精製しやすい軽質油の「エキストラライト」は、前月比1.20ドル引き下げの4.60ドルの割り増しとなりました。これは、ライバル関係にある米国産のシェールオイル、つまり地中深くの岩石層から採取される革新的な原油の供給が拡大しているためで、市場の競争原理が働いた結果だと考えられます。
しかし、中質油の「ミディアム」は前月から0.40ドル引き上げられて2.45ドルの割り増しとなり、重質油の「ヘビー」も0.70ドル引き上げの0.55ドルの割り増しを記録しました。中東の産油国が減産を進めたことで、これらと競合する原油の需給が一段と引き締まると予想されたためです。油種によって明暗が分かれる結果となり、市場の複雑な思惑が浮き彫りになっています。
筆者の視点としては、特定の油種が値下げされたとはいえ、全体的な高止まり傾向は日本の産業界にとって看過できないリスクであると感じます。特に製造業や運輸業へのコスト負担は深刻であり、今後はシェールオイルなどの代替調達先をさらに開拓し、特定の地域に依存しない強靭なエネルギーポートフォリオを構築することが、日本の持続可能な未来を守る鍵になるのではないでしょうか。
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