住宅の梁(はり)などに使われる北米産丸太の対日価格が、2019年5月積み分で4カ月ぶりに値下がりしました。指標となる「米松IS級」の価格は、前月積みより10ドル程度安い水準に戻っています。SNSでは「これで建築コストが少し下がるかも」「日本の住宅市場が冷え込んでいるのが原因か」といった、建築業界の動向を読み取る声が聞かれています。
価格下落の最大の背景にあるのは、日本の住宅需要の弱さです。国土交通省のまとめでは、2018年度の木造住宅の新設戸数は前年度をわずかに下回る結果となりました。特に、アパート融資の厳格化などが響き、「貸家」の落ち込みが大きかったと見られています。また、2019年10月からの消費増税を前にした「駆け込み需要」も一部で見られましたが、その勢いは過去の増税前の水準を下回るものでした。
さらに需給を緩ませているのが、競合材の存在です。複数の木材を貼り合わせて作る「集成材」が欧州などから安価に流入しており、価格を押し下げています。広島県の中国木材の堀川智子社長も「住宅需要の弱さと安い欧州産集成材を勘案して値下げを求め、要求が通った」と発言しており、日本の製材大手からの強い値下げ要求を米国側が受け入れた形です。
指標となる米松の価格は、運賃や保険料を含まない「FAS(船側渡し)」という条件で1トンあたり860ドル前後となり、2019年1月積みの水準に逆戻りしました。今後は、2019年6月から中国による対米報復関税が実施される見込みで、これが木材の国際的な流れに影響を及ぼし、さらなる価格変動を引き起こす可能性も懸念されています。
コメント