老舗デパート「大沼」が自己破産申請。友の会や跡地再開発の行方にSNSでも心配の声が広がる

山形県で長年親しまれてきた歴史ある百貨店「大沼」が、2020年1月27日に自己破産を申請しました。記者会見に臨んだ長沢光洋代表取締役は、一般の買い物客への影響について何度も頭を下げて謝罪しています。特にこれからの季節に必要となる学生服に関しては、事前に制服会社へ支払いを済ませるなどの対応を取ったものの、「すべての面で絶対に大丈夫だとは言い切れない」と、苦しい胸の内を明かしました。

この突然の悲報に対し、SNS上では「子供の頃から通っていた思い出の場所がなくなるなんて寂しい」「山形の街並みが変わってしまう」といった、市民からの悲痛な叫びや困惑の声が次々と投稿されています。長年地域に寄り添い、山形の文化を支えてきた存在だっただけに、人々のショックは計り知れません。

さらに深刻な問題となっているのが、大沼の子会社である「大沼友の会」も同時に自己破産を申請したことです。友の会とは、毎月一定の金額を積み立てることで、ボーナス分の特典が付いた商品券などを受け取ることができる、百貨店特有のお得な会員制サービスを指します。今回の破産により、積み立てられた資産がどうなるのかについて、多くの利用者が大きな不安を抱えています。

現在、負債額は約3億9000万円に上るとされており、法律に基づいて半分にあたる50パーセントの金額は供託(国の機関にお金を預けて保全する仕組み)によって守られている状態です。しかしながら、残りの半分が利用者にどれだけ戻ってくるのかは現段階で全く決まっていません。ネット上でも「楽しみに貯めていた積立金が戻らないかもしれないのはショック」と、実害を心配する声が急増しています。

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経営陣の苦渋の選択と、これから注目される一等地の再開発プラン

かつて大沼の動向を見守っていた首都圏の百貨店経営者は、歴史の幕引きを深く惜しんでいます。最初の段階で投資ファンドに経営の手綱を握らせてしまった選択が、歯車の狂う引き金だったかもしれないと指摘しました。その上で、せめて友の会を信頼してくれた顧客に対して、これ以上の大きな不利益が生じないような着地点を見つけてほしいと、切実な願いを語っています。

これからの最大の注目ポイントは、閉店してしまった本店の広大な敷地をどのように活用していくかという点でしょう。従業員たちがファンドから経営権を取り戻す際、地元のホテルなどを経営する実業家がスポンサーとして名乗りを上げ、最大で4億6000万円もの資金援助を行いました。その返済の一部として、建物の所有権は2019年末にすでにこの実業家へと移っています。

大沼の建物自体はかねてより耐震性の不足が課題とされており、建て替えの計画もありましたが、経営が限界を迎えてしまいました。しかし、道路を挟んで向かい側にある市立病院も老朽化による更新期を迎えています。このことから、病院と百貨店の跡地をひとつのエリアとして一体的に整備し、街を新しく生まれ変わらせる再開発の構想が以前から浮上しているのです。

山形市内では、過去に撤退した松坂屋などの商業施設跡地が、次々と高層マンションやホテルへと姿を変えてきた歴史があります。長沢氏は、地域のシニア層が毎日の買い物の拠点として頼りにしていた「地下の食品売り場(通称:デパ地下)」について、現在のオーナーである実業家の同意さえ得られれば、早期に営業を再開させることも不可能ではないと説明しました。

長沢氏の故郷である静岡県沼津市でも、過去に百貨店が撤退したことで中心市街地の活気が失われてしまった苦い経験があるそうです。それだけに、今回の跡地利用には人一倍の強い思い入れがあります。新しい時代のニーズに合った魅力的な施設を建て、山形の中心部をもう一度にぎやかな場所として蘇らせたいという、未来への希望を最後に言葉に滲ませていました。

地方都市における百貨店の閉店は、単なる一企業の倒産という枠を超え、地域コミュニティの崩壊を招きかねない重大な危機だと私は考えます。だからこそ、行政と民間企業が手を取り合い、高齢者も安心して暮らせる複合型スペースをこの場所に生み出すべきです。かつての賑わいを取り戻すための、官民一体となったスピーディーで温かい再生プロジェクトの始動が、今まさに求められています。

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