お酒の量を減らしたいと考えつつも、精神科を受診することに強い抵抗感を抱く方は少なくありません。そんな悩める人々の救世主として期待されているのが、茨城県にある北茨城市民病院付属家庭医療センターです。
こちらの医療機関では、2019年01月に「飲酒量低減外来」という画期的な専門外来をスタートさせました。筑波大学の地域総合診療医学が提供するこの試みは、精神科以外の領域としては全国で初めての取り組みとして大きな話題を呼んでいます。
SNS上でもこのニュースは瞬く間に拡散され、「内科感覚で通えるのは本当にありがたい」「こういう外来がもっと増えてほしい」といった、共感や称賛の声が数多く寄せられました。心理的なハードルを下げたことが、多くの方に響いているようです。
診察を担当する吉本尚准教授は非常に気さくな人柄で、診察室からは笑い声が聞こえるほど明るい雰囲気に包まれています。通院中の患者さんからも「絶対に怒らずに親身になって話を聞いてくれる」と、絶大な信頼を寄せられているのです。
厚生労働省のデータによると、国内で過剰にお酒を摂取している人は約1000万人に上り、そのうちアルコール依存症の疑いがある方は100万人と推定されます。しかし、実際に治療のために通院できている人はわずか5万人程度にすぎません。
アルコール依存症とは、お酒の飲み方を自分でコントロールできなくなる脳の病気のことです。本人の意志の強さとは関係なく、適切な医療サポートが必要不可欠となるため、気軽に相談できる窓口が社会全体で求められていました。
「前例を作れば全国に普及するはず」という熱い信念のもと、吉本准教授は本外来を立ち上げました。禁煙外来のように誰もが気軽に立ち寄れる場所を目指したこの挑戦は、医療界に新しい風を吹き込む素晴らしい一歩だと私は確信しています。
実際の診療ではカウンセリングが中心となり、初診時には質問票を使って依存度をチェックします。さらに、単に断酒を強要するのではなく「何のために減酒したいのか」という、患者さん自身の目標を明確にすることを重視しているのです。
受診時には毎回、呼気に含まれるアルコール濃度を測定する検査を行い、日々の生活習慣についても丁寧な聞き取りが行われます。プレッシャーを与えない自然体のスタイルだからこそ、患者さんも安心して通い続けられるのでしょう。
お酒のトラブルを隠したくなる心理に寄り添い、吉本准教授は患者さんを温かく見守ります。睡眠不足やストレスなど、飲酒の背景にある根本的な理由を優しく紐解くことで、減酒への確かな第一歩が踏み出せる仕組みです。
開設から1年が経過し、これまでに20代から80代までの幅広い世代の患者さん約50人が受診されました。そのうち約30人が治療を継続しており、初診から3ヶ月ほど経過すると、多くの方の飲酒量がおよそ半分にまで減少しています。
患者さん自身が「自分の力で減らせた」と実感できるサポート体制は、理想的な医療の形ではないでしょうか。この心温まる取り組みが全国の医療機関へと普及し、お酒に悩む多くの人が救われる未来が訪れることを切に願います。
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