2020年01月31日、日本の雇用情勢に小さくない地殻変動が起きました。厚生労働省が発表した2019年平均の有効求人倍率は1.60倍となり、前年から0.01ポイント減少したのです。数値自体は過去3番目の高水準を維持しているものの、低下に転じたのはリーマン・ショックの影響が色濃かった2009年以来、実に10年ぶりの出来事となります。このニュースはSNSでも瞬く間に拡散され、働く人々の間で大きな話題を呼んでいます。
有効求人倍率とは、ハローワークに登録している求職者1人に対して、企業から何件の求人があるかを示す指標です。今回は仕事を求める人が0.8%減の171万人だったのに対し、企業の求人数が1.6%減の273万人と大きく落ち込みました。SNS上では「ついにバブルが弾けるのか」「転職活動のハードルが上がりそう」といった不安の声が目立つ一方で、「人手不足の業界はまだたくさんある」と冷静に分析する意見も見られます。
今回の低下を招いた最大の要因は、世界的な経済の冷え込みにあります。とりわけ米中貿易摩擦の直撃を受けた製造業では、工場の生産活動が停滞しました。その結果、新しい人材を募集する新規求人数が2019年02月以降、11カ月連続でマイナスを記録しています。製造業は日本の基幹産業であるため、ここでの失速が雇用全体にブレーキをかけた形です。12月単体の数値を見ても1.57倍と横ばいで、勢いに陰りが見えるでしょう。
一方で、総務省が同日に発表した2019年平均の完全失業率は2.4%に留まりました。こちらは前年から横ばいで推移しており、1992年以来となる歴史的な低水準を2年連続でキープしています。仕事を失って困窮している人が急増しているわけではなく、雇用自体は一定の安定を保っていると言えます。求人が減ったとはいえ、市場全体としてはまだまだ仕事を選べる「売り手市場」が継続していると捉えるのが自然でしょう。
私はこの結果について、過度に悲観する必要はないと考えています。確かに景気の転換点を迎えている印象は拭えませんが、人手不足が深刻なITやサービス業などでは、依然として活発な採用活動が続いています。全産業が一斉に冷え込んでいるわけではなく、業界ごとの二極化が進んでいるのが現状です。これからの時代は、景気の波に左右されにくいスキルを身に付け、市場価値を高める努力がますます重要になるのではないでしょうか。
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