日本の基幹産業を牽引する自動車業界に、2020年の年明け早々、激震が走っています。トヨタ自動車やホンダといった大手メーカーの労働組合が2020年1月27日に今年の春季労使交渉、いわゆる「春闘(しゅんとう)」の要求方針を固めました。しかし、その中身は例年とは異なり、どこか冷え込んだ空気を漂わせるものだったのです。
日本を代表する世界のトヨタにおいて、労働組合の執行部が打ち出した賃上げの要求額は、全組合員平均で月額1万100円となりました。これは2019年の要求額を1900円下回り、最終的な妥結額と比べても600円低い水準です。さらに、基本給を一律で底上げする「ベースアップ(ベア)」の仕組みも見直され、今回は個人の評価に応じて配分する形が導入される見込みとなっています。
一方、ホンダの労働組合でも慎重な姿勢が際立つ結果となりました。ベアに相当する賃金改善分の要求を月額2000円に設定し、前年の水準から1000円も引き下げたのです。これはホンダがベアの要求を再開した2014年以降で、初めて3000円の大台を割り込む異例の事態と言えるでしょう。年間の一時金、つまりボーナスの要求に関しても、前年から0.3カ月分減らした6カ月分に留まっています。
こうした防衛的とも言える要求の背景には、2019年における世界的な新車販売の不振が色濃く影を落としています。自動車産業は現在、100年に1度とされる大変革期を迎えており、次世代技術への巨額の投資が必要不可欠です。それにもかかわらず足元の業績が伸び悩んでいるため、組合側もむやみに高い要求を突きつけられないという、苦渋の決断を下したのだと考えられます。
このニュースに対し、SNS上では「ついにトヨタやホンダほどの大企業でもブレーキがかかるのか」「景気の減速を肌で感じる」といった、先行きへの不安を募らせる書き込みが相次いでいます。その一方で、「会社の存続や雇用を守るためには、現実的な路線を選択せざるを得ないのだろう」と、組合側の冷静な判断に理解を示す冷静な意見も多く見られました。
編集部としては、今回の春闘の動向は単なる一業界の話に留まらず、日本経済全体の行く末を占う重要な試金石になると考えています。経営側に体力が残っているうちに、従業員のモチベーションを保ちつつ、いかに未来への投資へリソースを配分できるかが勝負の分かれ目です。横並びの賃上げから、個人の成果に応じた分配へのシフトが、日本の働き方に変革をもたらす契機になることを期待します。
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