日本のモノづくりを牽引する自動車業界において、労働者の生活を守る重要な交渉がいよいよ幕を開けます。マツダグループの労働組合が結集する「全国マツダ労働組合連合会(マツダ労連)」は、2020年の春季労使交渉、いわゆる春闘に向けて、月平均6400年以上の賃上げを求める方針を打ち出しました。今回の要求額は2019年と同水準を維持しており、2年連続での一律的な力強いアプローチとなっています。
今回の要求の最大の特徴は、基本給を一律に底上げする「ベースアップ(ベア)」と、年齢や勤続年数に応じて連動していく「定期昇給(定昇)」を切り離さず、あえて総額で提示している点です。SNS上でもこの方針に対して、「グループ全体の底上げに繋がる素晴らしい試みだ」と期待を寄せる声が上がっています。専門用語であるベースアップとは全体の給与水準を引き上げることを指し、定期昇給は個人のステップアップに伴う昇給を意味します。
マツダ労連がこの「総額方式」を導入した背景には、グループ企業内に存在する深刻な給与格差を解消したいという強い決意があります。実は2014年から2018年まではベアの金額のみを前面に出して交渉を行っていました。しかし、それだけでは大企業と中小企業の間で、定期昇給の伸び率にどうしても不条理な開きが生じてしまいます。そうした歪みを是正するために、2019年から現在のスタイルへと舵を切ったのです。
具体的な内訳としては、ベア単体での明確な数字こそ記載していないものの、実質的には3000円以上を見込んでいる模様です。また、働くモチベーションに直結するボーナス、いわゆる一時金についても、2019年と同様に年間で5カ月分をベースとして求めていく構えです。自動車業界全体が100年に1度と言われる大変革期を迎える中で、労働者の生活基盤を安定させることは、企業の持続的な成長にとっても不可欠な要素と言えるでしょう。
マツダ労連の久重道正会長は記者会見の席で、「産業構造が激変する中で現場の負担は増しているが、だからこそ人への投資を引き出したい」と熱弁を振るいました。この労連には部品製造メーカーや街の販売ディーラーなど、実に74もの多様な労働組合が加盟しており、その規模は約4万8000人にも上ります。この巨大な連帯の力が、格差社会に一石を投じることになるのか注目が集まります。
私個人の見解としても、昨今の経済情勢を鑑みれば、大手企業だけが潤うのではなく、下請け企業や販売網まで含めたグループ全体で豊かさを共有する姿勢は極めて先進的で、支持されるべきだと考えます。2019年の実績を振り返ると、71の組合が平均で月6650円を要求し、最終的に49の組合が月平均4648円を勝ち取りました。2020年1月21日に示されたこの方針が、どのような果実を結ぶのか、今後の労使交渉の行方から目が離せません。
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