2020年春闘の行方は?基幹労連が示す「賃金改善3000円」の決断と定年延長への布石

日本のものづくりを支える鉄鋼や重工業の現場に、新たな風が吹き込もうとしています。2019年12月5日、滋賀県大津市で開催された集会にて、基幹労連が2020年春季労使交渉(春闘)に向けた統一要求案を正式に発表しました。

注目の内容は、2020年度に3000円、さらに2021年度には3000円以上の賃金改善を目指すというものです。この「賃金改善」とは、いわゆる「ベースアップ(ベア)」のことで、労働者全員の基本給を一律に底上げする仕組みを指します。

SNS上では「前回の3500円から下がったのは厳しい」「世界情勢を考えれば妥当な判断か」といった、現実を冷静に受け止める声が目立っています。米中貿易摩擦などの影響で世界経済に霧が立ち込める今、この要求は慎重な決断といえるでしょう。

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不透明な経済状況と、現場が抱く期待のバランス

神田健一中央執行委員長は、現在の厳しい事業環境について、要求水準をさらに引き上げる状況にはないと述べています。しかし、停滞感を打破するためには賃金の改善が不可欠であり、今回の3000円という数字は「攻めと守り」の絶妙なラインなのです。

輸出に関連する業種が多い基幹労連にとって、海外情勢の変化は死活問題に直結します。ある非鉄メーカーの労組幹部は「現状では仕方のない水準だが、個別の企業交渉でどこまで上乗せできるかに期待したい」と前向きな姿勢を崩していません。

編集者の視点から見れば、一見するとトーンダウンした要求にも見えますが、これは持続可能な成長を見据えた「大人の選択」だと感じます。無理な要求で企業の体力を削るのではなく、着実なベアを勝ち取ることで消費を支える狙いがあるのでしょう。

65歳定年延長がもたらす、働く環境の大きな変革

今回の発表でもう一つ見逃せないのが、2021年度からの「65歳定年延長」に向けた議論の本格化です。公的年金の支給開始年齢が引き上げられる中で、シニア層が安心して働き続けられる環境を整えることは、日本全体の急務となっています。

鉄鋼大手ではすでに労使間の合意が進んでいますが、今後は造船や重工など幅広い業種への波及が期待されます。長く働ける安心感は、若手層にとっても将来のキャリアを描く上での重要な安心材料になることは間違いありません。

経済の不透明さに翻弄されることなく、賃金改善と雇用延長の両輪で労働者の生活を守ろうとする基幹労連の姿勢は、非常に頼もしいものです。2020年の春に向けて、経営側がどのような回答を示すのか、国民全体の関心が集まりそうです。

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