ひとりの女性書記による驚愕の裏切りが明らかになりました。住友重機械労働組合連合会で、積み立て年金などから少なくとも10億円もの大金が流出していたのです。業務上横領の容疑で警視庁に逮捕されたのは、長年にわたり会計をひとりで担っていた60歳の元書記の女でした。「私を解雇してください」という1通のメールを組合に残して突如姿を消した彼女の背後には、想像を絶する派手な私生活が隠されていたのです。
彼女が着服した資金の使い道として、特に世間を驚かせているのが「馬」への異常な執着でしょう。馬術競技用の馬を6頭、さらに地方競馬の競走馬も複数所有していました。競走馬などのオーナーである「馬主(ばぬし)」になるには、莫大な購入費だけでなく、毎月の飼育費や管理費といった維持費がかさみます。元書記はこれらの資金をすべて、組合員の大切な預金から捻出していたとみられています。
驚くべきことに、彼女はSNS上で自らの贅沢な暮らしを堂々と発信していました。愛馬とともに笑顔で見つめ合う写真や、競技に熱中する姿をフェイスブックに投稿していたのです。この大胆な行動に対し、ネット上では「泥棒の金で馬主気分を味わっていたのか」「組合員の血税ならぬ、血汗涙の結晶を何だと思っているのか」といった怒りの声が噴出しており、そのモラルの欠如に批判が殺到しています。
彼女の犯行を許してしまった原因は、あまりにもお粗末な組合のチェック体制にあります。元書記は1982年から専従、つまりその組織の業務だけを専門に担当する立場で会計を任されていました。実に30年以上も同じポストに居座り続けた結果、組織内の「内部統制」、いわゆる不正を防ぐための相互監視の仕組みが完全に形骸化してしまったのです。ひとりの人間に権限が集中することの恐ろしさを痛感させられます。
手口自体は非常に単純なものでした。定期点検の際、彼女は別の口座から一時的に資金を移動させて帳尻を合わせ、残高証明書だけを提出していたのです。組織側が出入金の履歴が記録されている「預金通帳」そのものを確認していれば、おかしな資金の流れは一発で見抜けました。これは「会計の一任」がもたらした致命的な油断であり、チェックする側がその役割を怠っていたと言わざるを得ません。
失踪後の2019年1月、彼女は千葉県野田市のマンションで身を潜めるように暮らしていました。近隣住民には物腰柔らかに挨拶を交わす一方で、働いていないはずの彼女が乗り回す高級外車に、周囲は違和感を抱いていたそうです。そして2020年1月、ついに捜査の手が及び逮捕となりました。汗水垂らして働いた組合員たちの年金が、個人の見栄や趣味のために霧散してしまった事実は、あまりにも悲惨です。
今回の事件は、すべての組織にとって他山の石とすべきでしょう。どれほど信頼しているベテラン職員であっても、定期的な人事異動や、複数人によるダブルチェックの徹底は不可欠です。「まさかあの人が」という油断が、10年もの長期にわたる巨額横領を許す土壌を作ります。住友重機械労働組合連合会には、失われた信頼の回復と、二度とこのような悲劇を繰り返さないための厳格な体制構築を強く望みます。
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