2020年1月29日に発表された米フェイスブックの2019年10月から12月期の決算は、売上高と純利益で過去最高を更新するという華々しい結果となりました。しかし、その裏で投資家たちの胸中には大きな不安が渦巻いています。決算発表直後には株価が一時7%超も急落する事態となり、市場の冷ややかな視線が浮き彫りとなりました。SNS上でも「絶好調に見えて先行きが不透明」「規制の波が押し寄せている」といった懸念の声が数多く上がっています。
投資家が最も危惧したのは、成長スピードの減速です。売上高の増収率は25%と依然として高い水準ではあるものの、2012年の上場以来で最も低い数値となってしまいました。最高財務責任者のデビッド・ウェイナー氏が「事業の成熟に加え、プライバシー規制の影響を受ける」と明言したように、インターネット広告を収益の柱とする同社にとって、個人情報を保護する動きは、まさに逆風以外の何物でもありません。
「鬼門」の選挙イヤーと政治との距離
現在、世界中の注目は2020年の米大統領選に集まっています。フェイスブックにとって選挙はまさに「鬼門」といえる存在です。2016年の選挙において、同社の個人情報が不適切に利用されたという疑惑が浮上し、批判を浴びた経緯があるからです。マーク・ザッカーバーグCEOは「現在は他社より優れたシステムがある」と強気な姿勢を見せますが、社会の分断や選挙介入を巡る目は以前にも増して厳しくなっています。
さらに追い打ちをかけるのが、巨大IT企業への風当たりです。一部の有力議員からは、フェイスブックやグーグルの「解体論」さえ飛び出しています。これは独占を禁止し、企業を分割させることで健全な競争を促そうという主張です。この動きが強まれば、インスタグラムなどの基盤を統合して進めようとしていた成長戦略が根底から覆されかねず、経営上の深刻なリスク要因となっています。
信頼回復への模索と新たな戦略
こうした状況を打開すべく、同社はネット広告依存からの脱却を急いでいます。特に注力しているのが、対話アプリ「ワッツアップ」を通じた送金サービスや、電子商取引(EC)への本格的な進出です。しかし、デジタル通貨「リブラ」の構想が金融当局から強い警戒を受けているように、新たなサービスを展開するたびにマネーロンダリング(資金洗浄)の懸念など、高いハードルが立ちはだかっています。
私が考えるに、フェイスブックが抱える最大の課題は、技術的な問題ではなく「社会との信頼関係」にあるのではないでしょうか。ザッカーバーグ氏が「好かれることよりも理解を得ることに注力する」と発言したように、政治的な議論を避けて通れないフェーズに入ったことは明白です。プライバシーの保護と利便性のバランスを、どのようにして公明正大に保ち続けるのか。その答えを出すことが、この波乱の年を生き抜く唯一の道でしょう。
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