国際貿易の舞台に、新たな緊張が走っています。欧州連合(EU)の通商担当であるホーガン欧州委員が、2020年1月16日に米中両国間で交わされた貿易合意に対して、厳しい視線を向けていることが明らかになりました。滞在先のワシントンで語られたこの発言は、早くも世界中で大きな波紋を呼んでいます。今回の合意が国際的なルールに合致しているのかどうか、EU側は徹底的に検証していく方針です。
SNS上でも「これでは市場の自由競争が失われるのではないか」「欧州企業への影響が心配だ」といった懸念の声が数多く上がっています。多くの人々が、大国同士の取り決めが世界経済に与えるインパクトを注視している状況です。特に今回の合意は、市場の原理に任せるのではなく、国家が主導して取引量を決める「管理貿易」のような性質を帯びているのではないかと、強く疑問視されています。
ここで注目されるのが、世界貿易機関(WTO)の存在です。WTOとは、国と国との間の貿易ルールを定め、自由で公平な取引を守るために作られた国際機関のことを指します。ホーガン氏は、もし今回の米中合意の中にこのWTOの規約に違反するような不当な内容が含まれていた場合は、当然ながら然るべき措置を講じる構えであると、強い調子で主張しました。
EUの航空機産業を守るための防衛策
具体的にEUが最も警戒しているのは、航空機市場への影響です。一部では、中国がアメリカのボーイング社製の機体を大量に購入する約束が、合意の中に盛り込まれているのではないかと噂されています。EUにはボーイング社の最大のライバルであるエアバス社が存在するため、これが事実であればヨーロッパの経済的な利益が著しく損なわれるのは言うまでもありません。
私たちは、巨大な経済圏同士がルールを無視して身内だけで利益を融通し合うような事態を、決して見過ごしてはならないと考えます。一見すると二国間の問題に見える貿易摩擦ですが、その決着の仕方が世界の自由貿易体制そのものを揺るがしかねないからです。特定の国だけが優遇される不公平な合意に対して、EUが毅然とした態度で精査を行う姿勢は、国際秩序を維持する上で極めて正当な防衛策と言えるでしょう。
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