世界経済の牽引役である中国の経済に、今大きな地殻変動が起きています。中国税関総署が2020年1月14日に発表した2019年通年の貿易統計によりますと、ドル建ての輸入額が前年比2.8%減の2兆768億ドル(約230兆円)に落ち込みました。輸入が前年の実績を割り込むのは2016年以来、実に3年ぶりの出来事となります。これまで破竹の勢いで拡大を続けてきた中国市場に、ブレーキがかかった格好と言えるでしょう。
一方で、輸出額は前年比0.5%増の2.4兆984億ドルに留まり、前年の大幅な伸びから一転してほぼ横ばいの状態です。この急減速の背景にあるのは、世界中を揺るがしているアメリカとの激しい「貿易摩擦」に他なりません。SNS上でも「ついに実態経済に傷跡が出始めた」「米中対立の影響は想像以上だ」といった驚きや先行きを不安視する声が数多く上がっており、世界的なトレンドとして高い注目を集めています。
米中対立のリアル!主役の座を追われるアメリカ
今回の統計で最も衝撃的だったのは、アメリカ向け貿易の激減ぶりです。対米輸出は前年比13%減、輸入にいたっては同21%減と、双方向で壊滅的な数字を記録しました。これにより、中国にとって最大の貿易相手国の一角だったアメリカは、欧州連合(EU)や東南アジア諸国連合(ASEAN)に後れを取り、一気に3位へと転落しています。まさに世界の貿易地図が、劇的に塗り替えられつつある現場を目撃していると言えます。
この冷え込みの原因は、お互いの輸入品に高い税金を課し合う「追加関税」にあります。これによってコストが跳ね上がり、中国が得意とする家具や繊維製品の勢いが削がれました。さらに、現代ハイテク産業の心臓部である「半導体(電気を流したり遮ったりする性質を持ち、スマホやPCの制御に不可欠な電子部品)」の輸入も減少しています。スマホの販売不振による国内生産の停滞が、こうした重要部品の買い控えに直結した形です。
豚肉の爆買い!?食卓を襲ったピンチと足元の変化
しかし、すべての品目が沈んでいるわけではありません。中国国内で深刻化した「アフリカ豚コレラ(ASF、豚の致死率が極めて高い感染症)」の流行による深刻な肉不足を補うため、豚肉の輸入が驚異的な急増を見せました。2019年の豚肉輸入量は前年比75%増の210万トンに達しており、激しい逆風の中でも貪欲に食糧を買い集める、巨大市場としての底力と必死さが垣間見えます。
明るい兆しとして、2019年12月単月のデータを見ると輸出が7.6%増、輸入が16.3%増と、足元では製造業の生産回復による力強いリバウンドも確認できます。ただし、これには2020年の「春節(中国の旧正月)」が1月下旬と例年より早いことから、企業が貿易取引を前倒ししたという特殊な季節要因も含まれているでしょう。一時的な回復か本物の復調か、まだ慎重に見極める必要があります。
編集部EYE:この数字から読み解く未来への教訓
私は今回の結果について、大国同士の関税合戦が現場の企業や消費者をいかに疲弊させるかを証明した、歴史的な転換点であると考えています。中国の輸入減少は日本を含む周辺国の輸出産業にとっても逆風であり、決して他人事ではありません。しかし、逆境の中でASEANとの繋がりを深めるなど、中国の貿易構造はすでに柔軟な変化を始めています。私たちは目先の減速を恐れるだけでなく、新時代への適応力を学ぶべきです。
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