2020年1月31日、出入国在留管理庁より2019年における外国人入国者数の速報値が公表されました。全体の数値に目を向けると、日本を訪れた外国人は合計で3119万人に達しており、2018年と比較して109万人もの増加を記録しました。これは統計史上、過去最高となる数字であり、日本の観光産業が依然として力強い勢いを見せていることを証明しています。
しかし、国籍別の詳細な内訳を紐解くと、一つの大きな変化が見えてきます。長年、訪日観光市場を牽引してきた韓国からの新規入国者数が、前年比で27.1%という大幅な減少を見せ、年間で534万人にとどまったのです。韓国からの入国者が減少へ転じるのは、なんと8年ぶりの出来事であり、多くの業界関係者に衝撃を与えています。
日韓関係の悪化と入国者減少の深い相関
なぜ、これほどまでに韓国からの入国者が減ってしまったのでしょうか。そのトリガーとなったのは、2019年8月以降の急激な変化です。この月を境に、前年同月比で50%を超える減少が毎月のように続くという、異例の事態が発生しました。SNS上でも「旅行の計画をキャンセルした」「周辺の雰囲気が悪く、行きづらくなった」といった声が散見されるようになりました。
この背景には、政治的な対立の激化があります。当時、日本政府が韓国向けの半導体材料などの輸出管理を厳格化したことに端を発し、韓国側が日韓軍事情報包括保護協定、いわゆるGSOMIA(ジーソミア)の破棄を通告するなど、両国間の緊張が極限まで高まりました。出入国在留管理庁も、こうした一連の対立が観光客の心理に影を落とした可能性を指摘しています。
GSOMIAとは、防衛に関する機密情報を共有するための協定を指します。安全保障上の枠組みが揺らぐほどの状況は、観光という平和な交流活動がいかに政治情勢の影響を受けやすいかを、残酷なほど如実に物語っていると言えるでしょう。
なお、ここで言う「新規入国者」とは、就労や留学などで既に日本に在住している人々を除き、純粋に観光や帰省などで初めて、あるいは一時的に入国する層を指しています。中国からの入国者は前年比24.7%増の742万人と躍進し、依然としてトップを堅持しました。2位が韓国、3位が台湾という順位に大きな変動はないものの、隣国同士の摩擦が直接的に人流を止めてしまった事実は、今後の観光戦略を考える上で極めて重い教訓を残したのではないでしょうか。
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