IPOを目指すベンチャーに激震!「監査難民」を生む四大監査法人の敬遠問題と今後の行方

株式市場へ新たに上場する「新規株式公開(IPO)」。今、この華やかな舞台の裏側で、日本の成長を支える新興企業を揺るがす深刻な事態が進行しているのをご存じでしょうか。これまで上場準備の頼れるパートナーだった「ビッグ4」と呼ばれる四大監査法人が、IPOの監査業務を敬遠し始めているのです。SNS上でも「これではベンチャーが育たない」「せっかくの成長企業が上場を断念せざるを得ないのは大問題だ」といった不安や懸念の声が数多く上がっており、トレンドワードとして注目を集めています。

そもそもIPOを実現するためには、公認会計士による「監査証明」というお墨付きを得た2期分の有価証券報告書が不可欠となります。監査証明とは、企業の決算書が正しいルールに従って作られているかを公認会計士が保証する極めて重要な手続きです。しかし、2020年01月23日現在の最新データによると、2019年のIPO全86社のうち、四大法人が手がけたのは前年から11社も減少した67社に留まりました。シェアは78%と過去10年で最低の水準にまで落ち込んでいます。

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監査厳格化と人手不足がもたらす「コスト」の壁

かつては、将来の優良顧客を囲い込むために採算度外視で引き受けることも多かったIPO監査ですが、その風潮は今や完全に過去のものとなりました。東芝などの大手企業で相次いだ会計不祥事を受け、世間からは監査の厳格化を求める声がこれまで以上に高まっています。さらに、2019年には日本取引所グループが上場準備企業への審査を厳しくするよう要請したため、監査法人が1社にかける作業時間が大幅に増加しました。人手不足も重なり、大手法人はリスクの高い新興企業を敬遠せざるを得ないのが現状です。

また、大手法人は提携している国際会計事務所からも、採算の低い業務を見直すよう強い圧力を受けている状況にあります。その結果、2018年のIPO申請時における監査報酬の中央値は1780万円と、前年比で27%も跳ね上がりました。このように費用が高騰しているにもかかわらず、大手から契約を断られてしまう企業が続出しているのです。上場を目指すベンチャー企業にとっては、高いコストの壁だけでなく、監査を引き受けてくれる法人そのものが見つからないという二重苦に直面しています。

台頭する準大手・中小法人と「監査難民」への国の対策

大手が引き締めを図る一方で、存在感を高めているのが太陽監査法人をはじめとする準大手や中小の監査法人です。積極的な姿勢で受注を伸ばし、大手の1角であるPwCあらた監査法人を上回るシェアを獲得する動きも見られます。しかし、この受け皿だけでは網羅しきれず、監査法人を確保できない「監査難民」の問題は深刻さを増すばかりです。こうした事態を重く見た金融庁は、2019年12月に専門会議を設置し、中小法人の育成やミスマッチを防ぐ窓口の開設といった具体的な救済策に乗り出しました。

専門家からは「本来、リスクの高い新興企業こそ、組織力のある大手が監査を請け負うべきだ」という厳しい指摘も上がっています。実際、近年に上場した企業の約5割が初値を下回る株価で推移しており、新興企業の質の担保は急務と言えるでしょう。編集部としては、大手がリスクを恐れてベンチャーの芽を摘むような現状は、日本経済の活力を奪いかねないと危惧しています。単に監査法人の数を増やすだけでなく、持続可能なIPOの審査体制と、本当に成長できる企業を見極める仕組みづくりが今まさに求められています。

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