2019年12月18日現在、日本の株式市場は熱気に包まれています。日経平均株価がついに2万4000円の大台を回復し、投資家の期待感は最高潮に達していると言えるでしょう。しかし、その華やかな上昇相場の裏側で、凍えるような寒さに震えているセクターが存在します。それが、スキー場運営や防寒具、そして暖房燃料を扱う「冬消費関連株」です。全体相場がこれほど好調であるにもかかわらず、特定の銘柄だけが逆風にさらされている状況は、非常に皮肉なコントラストを描いています。
この冷え込みの最大の要因は、気象庁が発表した2019年12月から2020年02月までの3ヶ月予報にあります。予報によれば、今シーズンの気温は平年並みか、それを上回る「暖冬」になる見通しです。雪が少なくなれば、当然ながら冬の代名詞であるレジャーやエネルギー消費は落ち込みます。投資家たちはこの予報を敏感に察知し、冬の恩恵を受けるはずの企業から資金を引き揚げているのが現状です。まさに、空に広がる暖かな空気感が、市場に冷水を浴びせている状況と言えるでしょう。
スキー場からエネルギーまで、広がる暖冬の波紋
具体的な数字を見ると、市場のシビアさが浮き彫りになります。2019年10月末からの騰落率において、日経平均が5%もの力強い上昇を見せる中、日本スキー場開発は2%のマイナスを記録しました。さらに、スポーツ用品大手のミズノや、暖房器具メーカーのコロナも軒並み1%ほど値を下げています。これらの企業は、冬の寒さが厳しければ厳しいほど利益が伸びる「季節銘柄(気象状況によって業績が左右される銘柄)」の代表格ですが、今期は天候という不可抗力が大きな重荷となっているようです。
影響はレジャーだけに留まりません。エネルギー業界でも、暖房に欠かせない灯油の需要低迷が懸念されています。出光興産やJXTGホールディングスといった石油元売りの株価も冴えない動きを見せており、暖冬が産業の裾野まで影を落としていることが分かります。SNS上でも「雪がないとスキーに行く気になれない」「冬服を買い替える必要性を感じない」といった消費者の率直な声が散見され、実体経済における冬の停滞感が投資心理をさらに冷やしている様子が伺えます。
消費増税とIPO人気の狭間で揺れる投資家心理
今回の苦境には、天候以外の要因も複雑に絡み合っています。2019年10月に実施された消費税増税は、消費者の財布の紐を一段と固くしました。節約志向が強まる中で、生活必需品ではないレジャーへの支出が真っ先に削られるのは避けられない流れです。私自身の見解としても、暖冬という「外部環境」と増税という「政策要因」が重なったダブルパンチは、冬関連企業にとって例年以上に厳しい試練になると考えています。この逆境を跳ね返すには、天候に左右されないビジネスモデルの構築が急務でしょう。
こうした中、個人投資家の目はすでに別の場所を向いています。松井証券の窪田朋一郎氏が指摘するように、低迷する冬関連株を避け、新規株式公開(IPO)銘柄などの値動きが激しいセクターへ資金が流出しているのです。夢を追うIPO銘柄が活況を呈する一方で、季節の恩恵を受けられない銘柄が「お寒い」状況に置かれる。今の市場は、まさに勝者と敗者が明確に分かれる二極化の様相を呈しています。今はじっと耐え、春の訪れとともに新たな戦略を練る時期なのかもしれません。
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