出版社も書店も垣根を越えた!凪良ゆう『わたしの美しい庭』が起こす奇跡のベストセラー術

2020年2月1日現在、出版業界でひときわ注目を集めている一冊をご存知でしょうか。凪良ゆう氏による小説『わたしの美しい庭』です。2019年12月の発売以来、すでに3刷1万6000部を突破するという好調な滑り出しを見せています。この物語は、血のつながらない親子や性的マイノリティといった、いわゆる「少し変わっている」とされる人々の日常を、非常に繊細で温かい筆致で描いた作品です。

担当編集者の森潤也氏が「繊細なテーマを絶妙な距離感で描き出せる」と称賛する通り、その実力は折り紙付きといえます。しかし、出版業界という世界は、必ずしも実力と売れ行きが直結する場所ではありません。凪良氏は、男性同士の恋愛を描く「ボーイズ・ラブ(BL)」ジャンルで10年以上の輝かしい実績を持つ人気作家ですが、一般文芸のフィールドでは、まだ知名度が決して高いとは言えない状況でした。

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業界の垣根を越えた応援の輪

そこで今回、ポプラ社の編集部がとった戦略は、出版社の垣根を軽々と越えていくという大胆なものでした。なんと、他社の編集者たちに協力を仰いだのです。「業界全体が注目する書き手である」という熱いメッセージを読者に届けるため、販促用のコメントを依頼したところ、声をかけた4社すべてが快諾するという素晴らしい協力体制が築かれました。

かつて凪良氏の一般文芸作品を刊行した経験を持つ、講談社の河北壮平氏は「自社の利益だけでなく、皆で新しい才能を盛り上げようという動きが純粋に嬉しい」と語っています。私個人としても、この姿勢はまさに現代に必要な考え方だと強く共感します。一社だけで抱え込むのではなく、業界全体で才能を育むという姿勢こそが、新しいヒットを生み出す鍵になるのではないでしょうか。

池袋の「本屋同盟」が巻き起こす熱狂

さらに、この熱気は書店にも波及しています。東京都豊島区にある池袋の旭屋書店、くまざわ書店、三省堂書店、ジュンク堂書店の4店舗が「本屋同盟」を結成し、凪良氏のフェアを共同開催するに至りました。発起人の一人である旭屋書店の礒部ゆきえ氏は、作品の質はもちろん、凪良氏がサブカルチャーに造詣が深いという点も、池袋という街で展開するうえで非常に大きな意義があると述べています。

ネット上でも、出版社合同のツイッターアカウント「チーム凪良ゆう」を通じて最新情報が発信され、SNS上では「書店同士が協力するなんて熱い!」「このタッグなら読みたくなる」といった応援の声が続々と上がっています。ライバル関係にある書店や出版社が、一人の作家のためにこれほどまでに結束する姿には、胸が熱くなりますね。これこそが、これからの時代における理想的なベストセラーの作り方なのかもしれません。

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