2020年1月31日、地方銀行である阿波銀行が、大手証券会社の野村證券と包括的な業務提携を結ぶという大きな決断を下しました。この提携の核となるのは、株式や投資信託といった証券商品の仲介業務を一本化することです。地域密着型の銀行と、豊富な金融ノウハウを持つ証券会社が手を組むことで、一体どのような化学反応が生まれるのでしょうか。
具体的には、2021年6月を目標に、阿波銀行が抱える証券口座を野村證券へと移管する計画です。これにより、阿波銀行は顧客対応や販売窓口に注力し、野村證券が誇る高度な資産運用の知見を阿波銀行の顧客に直接届ける体制へと変わります。いわば、地元の信頼感とプロの専門性を融合させることで、預かり資産1兆円という野心的な目標達成を目指すのです。
地域金融の新しいロールモデルとなるか
SNS上でも今回の提携は大きな反響を呼んでいます。「地元密着の地銀が野村のノウハウを使えるのは大きい」「人口減少に悩む地銀にとって、これからの生き残り戦略として興味深い」といった前向きな意見が多く見受けられます。まさに、少子高齢化が進む地方において、金融機関がどう付加価値を提供し続けるかという問いに対する、一つの回答と言えるでしょう。
そもそも「預かり資産」とは、銀行や証券会社が顧客から預かっている金融資産の総額を指します。預金だけでなく、投資信託や債券なども含まれるこの指標は、金融機関が顧客からどれだけ信頼されているかを示す重要なバロメーターです。阿波銀行が現在保有する4100億円超の資産に、野村證券徳島支店の分を合わせると約8000億円。ここから1兆円への飛躍を狙います。
徳島県は、実は一人当たりの貯蓄額が全国でもトップクラスで、株式投資への関心も高いという「隠れた投資大国」です。日本銀行による2019年の調査でも、徳島では株式購入経験者が4割を超え、全国平均の32%を大きく上回っています。この底堅いマーケットに対して、両社の強みを生かしたサービスが提供されれば、地域経済の活性化にもつながるはずです。
私個人としては、この動きを非常に高く評価しています。貸出金が伸び悩む現状に対し、単に融資を待つのではなく、顧客の資産を一緒に増やし、運用をサポートするという「非金利収益」を重視する姿勢は、これからの地銀の理想的な姿でしょう。今後は、個人の資産運用だけでなく、企業のM&AやIPO(新規株式公開)といった法人向けサービスへの発展も期待したいところです。
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