2020年1月31日、日立製作所は大きな転換点を迎えました。半導体製造装置などで高い技術力を誇る上場子会社、日立ハイテクノロジーズを約5300億円で完全子会社化すると発表したのです。今回のTOB(株式公開買い付け)が成立すれば、同社は上場廃止となる見通しです。日立はこれに先立ち、日立化成の売却も発表しており、グループ全体で大胆な構造改革を推し進めています。
このニュースを受け、SNS上では「日立グループがまた大きく変わろうとしている」「選択と集中のスピード感がすごい」といった驚きの声が広がっています。一方で、日立が成長の核と位置づけるデジタル事業「Lumada(ルマーダ)」の展開が、この改革の陰で後手に回っているのではないか、という懸念の声も上がっています。
成長の鍵「ルマーダ」の現状と課題
そもそも「ルマーダ」とは、日立が蓄積してきたIT(情報技術)とOT(制御・運用技術)を融合させ、IoTやAIを活用して顧客データから新たな価値を創造する中核事業のことです。東原敏昭社長は、この事業の売上高を2021年度に1兆6000億円まで引き上げる高い目標を掲げています。
2020年1月31日に公開された2019年4月から12月期の決算によれば、ルマーダ事業の売上高は前年同期比11%増の8390億円と、一見順調に推移しているように見えます。導入事例も右肩上がりですが、依然として大きな課題が残されています。それは、海外売上高比率が約1割に留まっているという点です。
2021年度の目標達成には、グローバル市場での飛躍が不可欠でしょう。海外顧客の複雑な課題を紐解き、最適なソリューションを提案できる人材の獲得や、海外展開を加速させるための具体的な戦略が待たれている状況です。
「構造改革」優先の先にある未来
日立は過去1年間、米JRオートメーションの買収や、日立ヴァンタラと日立コンサルティングの統合など、着実に手を打ってきました。しかし、これらはあくまで事業拡大の土台作りです。日立が今、日立ハイテクの買収や他事業の売却といった「内部改革」を優先しているのは、まずは強固な足場を築くことが先決だと判断したからではないでしょうか。
私個人としては、今回の構造改革は日立が真のデジタル企業へと脱皮するための「苦渋の、しかし不可欠な断捨離」だと考えています。内部のしがらみを整理し、ルマーダへと人的・資金的リソースを集中させる準備が整いつつある今こそ、次の大きな一手が見られるはずです。
2020年2月3日現在、改革に一定の目処が立ちつつある中、西山光秋執行役専務兼最高財務責任者も社内体制の強化を示唆しています。日立がルマーダという武器を手に、世界のデジタル市場でどのような変革を起こすのか、今後の動向から目が離せません。
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