日本が誇る製造業の巨人、日立製作所がいよいよ「モノ」から「データ」へとその主戦場を劇的に移そうとしています。同社は2019年09月18日、あらゆるデバイスをインターネットで繋ぐ「IoT」事業のグローバル展開を加速させるため、2020年01月にアメリカへ世界本社を設立すると発表しました。これは単なる拠点の移動ではなく、ハードウェアの販売に頼り切ってきたこれまでのビジネスモデルから脱却し、デジタルサービスで稼ぐ企業へと進化するための重大な転換点と言えるでしょう。
新会社は、ストレージ事業に強い「日立ヴァンタラ」とコンサルティングを担う「日立コンサルティング」の2社を統合して誕生します。名称は「日立ヴァンタラ」を引き継ぎ、約1万2000人の精鋭スタッフを擁する巨大組織となる予定です。SNS上では「日立の本気度が伝わってくる」「GAFAの牙城にどう食い込むのか楽しみだ」といった期待の声が上がる一方で、「巨大な競合がひしめく北米でどこまで存在感を示せるか」という冷静な視線も注がれており、その動向に注目が集まっています。
独自プラットフォーム「Lumada」で世界を繋ぐ
この戦略の中核を担うのが、日立独自のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」です。プラットフォームとは、データを取り込み、分析し、活用するための「土台」となるシステムを指します。ルマーダは、工場設備の故障を事前に予測するだけでなく、商業施設での顧客の動きを分析して売り上げを伸ばしたり、都市全体の電力を最適化したりと、その活用範囲は無限大です。日立はこれを武器に、日本を除く世界約40カ国・地域の事業を一手に統括し、グローバル市場での勝負に打って出ます。
現在のルマーダ事業は年間1兆円を超える売り上げを誇りますが、その約9割が日本国内に留まっているのが現状です。北米は世界全体のITサービス市場の約4割を占める主戦場であり、ここでの成功なくして真のグローバル企業への脱皮はあり得ません。日立は2022年03月期までに、IoT関連の売上高を1兆6000億円まで引き上げる野心的な計画を掲げています。1兆円規模の成長投資を背景に、M&A(企業の合併・買収)も視野に入れながら、海外の顧客基盤を一気に拡大していく構えです。
製造業のDNAが武器!GAFAとの差別化戦略
しかし、アメリカ市場にはアマゾンやグーグルといった「GAFA」をはじめ、ゼネラル・エレクトリック(GE)やシーメンスといった強力なライバルが立ちはだかっています。特にGAFAは、私たちが普段使うアプリや決済などの消費分野で圧倒的な強さを誇ります。これに対し、日立が打ち出す差別化のポイントは「現場の知見」です。自ら鉄道や産業機器を作ってきたメーカーだからこそ分かる、機械の絶妙な制御や運用のノウハウこそが、IT専業メーカーには真似できない最大の強みになるはずです。
私自身の見解としては、この「脱ハード依存」への挑戦は、日本企業が生き残るための唯一の道だと感じます。これまでは高品質な製品を作れば売れる時代でしたが、今はその製品を使ってどのような価値を提供できるかが問われています。先行するシーメンスですら北米では苦戦を強いられている過酷な環境ですが、日立が持つ「IT(情報技術)」と「OT(制御技術)」の融合が結実すれば、シリコンバレーの巨人たちを脅かす存在になる可能性は十分に秘められているでしょう。
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