2019年08月05日現在、世界の経済シーンには不透明な暗雲が立ち込めています。主要企業の2019年04月から06月期における最終的な儲けを示す「純利益」を集計したところ、前年の同じ時期と比べて2%減少するという厳しい結果が浮き彫りになりました。これは2018年10月から12月期以来、わずか2四半期で再びマイナス成長に転じたことを意味しており、世界的な景気後退への懸念が現実味を帯び始めています。
今回の収益悪化を招いた最大の要因は、泥沼化する米中貿易摩擦に他なりません。世界経済の二大巨頭がぶつかり合うことで、国境を越えた物流や投資が停滞し、特に製造業を基盤とする国々が深刻なダメージを受けています。SNS上では「スマホやPCのパーツ価格が不安定になりそう」「景気が冷え込む前に大きな買い物は控えるべきか」といった、消費者の不安を反映した投稿が相次いでおり、市場の心理的冷え込みも無視できない状況です。
アジアの製造業を直撃した半導体不況と自動車市場の苦境
地域別のデータに目を向けると、特にアジア圏の落ち込みが顕著で、純利益は21%減という衝撃的な数字を記録しました。なかでも韓国のサムスン電子や台湾のTSMCといった、世界を代表する半導体メーカーが苦戦を強いられています。半導体とは「産業のコメ」とも呼ばれる重要な電子部品で、スマートフォンからデータセンターのサーバーまで幅広く使われますが、需要の鈍化により価格が急落し、各社の利益を大きく削り取ってしまいました。
また、日本国内の企業もこの荒波を避けることはできていません。2019年04月から06月期において、日本の主要企業は7.3%の減益を記録しており、これで3四半期連続のマイナスとなります。日産自動車の利益が9割も消滅したほか、工場自動化の要であるファナックなどの工作機械メーカーも苦しい戦いを続けています。かつては飛ぶ鳥を落とす勢いだった中国の新車販売も12カ月連続で前年割れとなっており、自動車産業の曲がり角を感じさせます。
私自身の見解としては、現在の状況は単なる一時的な調整局面ではなく、グローバルな供給網(サプライチェーン)そのものが再構築を迫られている過渡期だと考えています。これまでは効率性を重視して中国やアジアに拠点を集中させてきましたが、政治的リスクがこれほど顕在化した以上、企業は利益率を削ってでも「リスク分散」を優先せざるを得ないでしょう。このコスト増が、さらなる収益圧迫を招くという負の連鎖が懸念されます。
孤軍奮闘する米国経済と「GAFA」が示すデジタル時代の覇権
世界中で減益が相次ぐなか、唯一の希望のように輝きを放っているのが米国市場です。主要5地域で唯一、3.8%の増益を確保した背景には、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される巨大IT企業の圧倒的な稼ぐ力があります。製造業が貿易摩擦の直撃を受ける一方で、物理的な国境に縛られにくいデジタルプラットフォーム企業が、世界中のデータを富に変え、米国経済の底支えを演じているのです。
しかし、この「米国一人勝ち」の状況が今後も続くかどうかについては、慎重な見方が強まっています。専門家からは、米国経済もすでに成熟しきっており、2019年後半に向けては製造業を中心にブレーキがかかるとの予測も飛び出しました。デジタル経済の恩恵を受けられる企業と、物理的なモノづくりで苦闘する企業の二極化は、今後ますます加速していくでしょう。私たちは今、経済の主役が完全に入れ替わる歴史的な転換点に立ち会っているのかもしれません。
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