東地中海で進められている巨大な天然ガスパイプライン計画に、新たな光が差し込んでいます。2020年2月4日、ギリシャのコスタス・フラゴヤニス外務副大臣が明らかにしたところによれば、イタリアが2021年中に正式参加し、2022年までには投資の最終決定を行う見通しとのことです。この壮大なプロジェクトは、イスラエルとキプロスの沖合で生産される天然ガスを、ギリシャやイタリアを経由して欧州各地へと運ぶというもの。エネルギー供給の安定を目指す欧州にとって、まさに希望の架け橋となり得る計画といえるでしょう。
このニュースに対し、SNS上では期待と懸念が入り混じった議論が展開されています。「エネルギーの多様化は欧州の安全保障にとって重要だ」といった前向きな意見が見られる一方で、「総距離1900キロメートルにも及ぶ長いパイプラインの採算性は本当に確保できるのか」という冷静な指摘も少なくありません。莫大な建設コストが予測されるだけに、投資家や各国の経済専門家たちも、その実現可能性を厳しく見極めようとしているようです。
地政学的な摩擦とエネルギーの未来
この計画が注目される背景には、エネルギーを巡る深い地政学的な摩擦が存在します。東地中海のガス供給によって、中東欧諸国はこれまで依存度が高かったロシア産ガスからの脱却、いわゆる依存度の低下が可能になります。エネルギー源を多様化することは、経済的にも政治的にもリスクを分散させる賢明な選択といえるのではないでしょうか。
しかし、この動きに強く反発しているのがトルコです。トルコはキプロスを国家として承認しておらず、キプロス沖合での資源開発に異議を唱えています。特に2019年11月、トルコはリビアの暫定政府と排他的経済水域(EEZ)の境界を定める協定を締結しました。EEZとは、沿岸国がその水域の資源開発などに関する権利を排他的に行使できる海域のこと。この協定は、パイプラインのルートを事実上封鎖する狙いがあると見られています。
これに対し、フラゴヤニス外務副大臣は「この協定は国際法に違反しており無効である」と語気を強めています。ギリシャ政府は外交対話を重視しつつも、事態が解決しない場合には、オランダのハーグにある仲裁裁判所で法的な判断を仰ぐことも辞さない構えです。強硬な姿勢を見せるトルコと、それを国際法で制そうとするギリシャ。この対立は一筋縄ではいかない難題ですが、法の支配に基づく解決が望まれるところでしょう。
ギリシャが目指す経済の飛躍
現在、ギリシャは大きく舵を切ろうとしています。2019年7月に発足したミツォタキス政権は、親ビジネスを掲げた経済改革を断行しています。かつての増税政策を転換し、旧空港の大規模再開発を推進するなど、投資環境の整備に余念がありません。さらに興味深いのは、石炭火力発電を全廃するという、環境を意識した力強い方針です。
私はこの方針を非常に高く評価しています。環境負荷を減らしつつ、観光や不動産、インフラ開発への海外投資を積極的に呼び込むことで、19年に2%程度と見られた経済成長率を4%へと倍増させようとする野心的な計画は、ギリシャの底力を信じさせるものです。日本企業にとっても、再生可能エネルギー分野を中心に新たなビジネスチャンスが広がっていることは間違いありません。地中海の青い海と、未来のエネルギーの可能性。ギリシャの挑戦は、私たちのビジネスにも新しい扉を開いてくれるはずです。
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