2020年01月28日の東京外国為替市場は、非常に緊迫した空気に包まれています。現在、世界中で猛威を振るい始めている新型肺炎の感染拡大への恐怖から、株式市場が世界的に下落を続けている状況です。こうした有事の際、投資家たちは一斉にリスクを避けようと動き出します。
その結果、市場では「低リスク資産」として絶大な信頼を集める日本円を買う動きが急ピッチで先行しました。このように、世界的な危機が発生した際に資金の避難先として選ばれる資産のことを、金融の世界では「安全資産(セーフヘイブン)」と呼んでいます。
しかし、本日の円相場は一方的な展開にはなっていません。安全資産としての円買いが進む一方で、海外から原材料を仕入れる国内の輸入企業による「実需の円売り」が相次いで観測されているためです。彼らは支払いのために円を外貨に換える必要があり、これが円の上値を抑えています。
このように異なる思惑を持った売りと買いが激しく交錯した結果、東京市場の12時時点では1ドル=109.000円から109.005円の間で、わずか5銭という極めて小幅な円高水準での推移にとどまりました。方向感を探るような、実に見応えのある神経質な攻防戦と言えるでしょう。
SNS上でもこの動きは大きな注目を集めており、「パンデミック(感染症の世界的大流行)懸念のわりには円高が進まない」「輸入企業の買い支えが強い証拠だ」といった、市場の硬直化に対する驚きや冷静な分析をツイートするユーザーが続出しています。
筆者の視点としては、目先の感染症ニュースだけに惑わされず、こうした企業の実質的な資金需要(実需)の動きを同時に見極めることこそが、為替の本質を捉える鍵だと考えます。パニック相場の中でも、市場は極めて冷静に需給のバランスを取っているのではないでしょうか。
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