新型肺炎で円高が加速?投資家が注目する安全資産としての「円」と為替相場の行方

2020年1月25日の東京外国為替市場で、円相場がじわじわと値を上げる展開をみせています。午後5時の取引時点では、1ドル=109円54銭から55銭近辺で推移しており、前日の同じ時間帯と比較すると6銭ほどの円高ドル安を記録しました。世界を揺るがしている新型肺炎の感染拡大により、中国をはじめとする東アジア全体の経済活動が停滞するのではないかという懸念が、市場の参加者の間で急速に広がっているようです。

このような有事の際、市場では「低リスク通貨(安全資産)」と呼ばれる円を買い戻す動きが活発化しやすくなります。低リスク通貨とは、世界的な政情不安や経済危機の際に、比較的価値が下がりにくいと信頼されている通貨のことで、日本円はその代表格です。SNS上でも「新型肺炎のニュースを見て、ひとまず円に資金を避難させた」といった投資家たちのリアルな声が相次いでおり、市場の警戒感の高さが浮き彫りになっています。

しかし、今回の円高の勢いがどこまでも続くかといえば、決してそうではないと私は考えています。実際にこの日は、日経平均株価を筆頭にアジア各国の主要な株価指数が総じて底堅い動きを維持していました。そのため、過剰なリスク回避のために抱え込んでいた円の持ち高を、いったん手放して利益を確定させようとする投資行動も同時に出やすくなっているのです。結果として、円の上値を積極的に買い進むようなエネルギーは限定的なものに留まりました。

感染症による実体経済への影響は未知数ですが、市場はパニックに陥ることなく実に冷静な判断を下している印象を受けます。私たちは目先の値動きだけに一喜一憂するべきではありません。株価の動向や各国の迅速な防疫対策を見極めつつ、今後の為替レートがどのように均衡点を模索していくのかを慎重に注視していくべきでしょう。

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