SaaS株投資の落とし穴とは?業績相場で囁かれる逆回転リスクと正しい評価指標を徹底解説!

2020年01月24日の株式市場では、日経平均株価が前日の終値を挟みながら、買いと売りが激しく交錯する小幅な値動きに終始しました。企業の業績が本当に回復しているのか確信が持てない状況下で、投資家から熱い視線を浴びているのが「SaaS(サース)」と呼ばれるビジネスを手がける中小型株の一群です。これらは世界景気の影響を受けにくい国内向けの銘柄であり、法人向けの成長ビジネスとして注目を集めています。しかし、その将来性への期待は少し膨らみすぎているのかもしれません。

ネット上でも「働き方改革の波に乗るSaaS株は最強」「これからはクラウドの時代」といった前向きな声が溢れる一方で、「今の株価はいくらなんでも高すぎるのでは」と警戒を強める意見も目立ち始めています。そもそもSaaSとは「Software as a Service」の略称で、インターネットのクラウドを経由して必要な分だけソフトウェアを利用する仕組みのことです。2019年12月に上場したフリーやマネーフォワードが提供する、家計簿や法人向けのクラウド会計ソフトがその代表例と言えるでしょう。

市場では新興企業が集まる東証マザーズを中心に、経費精算ソフトを提供するラクス株がこの1年で2倍以上に高騰しました。時価総額のトップ10には同社や名刺管理のSansan、そしてフリーの3社が名を連ねています。東証1部に所属するサイボウズも、約14年ぶりの高値圏へと踊り出ました。IT化が遅れている中小企業をターゲットにした成長戦略は非常にシンプルであり、投資家にとって出資のメリットを理解しやすい点が大きな魅力となっています。

米中間の貿易摩擦が深刻化する中では輸出に頼る外需株に手を出しにくく、国内を見渡しても消費税増税の影響が懸念されます。深刻な人手不足や政府が推進する働き方改革が追い風となるこのセクターは、消去法的な選択肢として一段と輝きを放っているのが現状です。しかし、私自身はこうした過熱気味な人気に対して、一度冷静になるべきだと考えています。なぜなら、多くのSaaS企業は製品開発や莫大な広告宣伝費への投資が先行し、足元の業績が赤字や減益に陥っているからです。

一般的な投資指標であるPER(株価収益率)は、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示しますが、これが100倍を超えていたり、そもそも赤字で計算すらできなかったりする企業が珍しくありません。そこで市場では、時価総額に純有利子負債を足した「企業価値(EV)」が売上高の何倍にあたるかという独自の簡易指標が使われています。大幅な増収を達成しているにもかかわらず、この倍率が平均より低ければ、一時的な要因で株価が不当に安く放置されていると判断される仕組みです。

例えばアドビなどの米国を代表する企業の平均倍率が9.4倍であるのに対し、日本のフリーなどは20倍を超えており、明らかな割高感が漂っています。また、売上高の成長率にキャッシュの流れを示す比率を足して40%を上回れば投資に適しているとする「40%ルール」という指標も有名です。ですが、投資家への利益還元に直結する「1株当たり利益」を無視した評価には限界があるでしょう。こうした新しい物差しは、適正な株価を測るためではなく、高すぎる株価を正当化するために都合よく使われがちだからです。

利益に基づかない取引は短期的なマネーゲームになりやすく、株価の乱高下を招く危険性を孕んでいます。来週からは上場企業の決算発表が本格化し、株式市場は企業の本当の稼ぐ力を厳しく見極める「業績相場」へと突入していく予定です。これまでは「他に買うものがないから」という消去法で買われてきたSaaS株ですが、そのブームが急激に冷え込む逆回転のリスクを、私たちは今こそ強く意識しておくべきではないでしょうか。

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