肥料や化学製品の原料として、私たちの生活を根底から支えているアンモニア。この重要な化合物の製造方法に、今、劇的な転換の予兆が訪れています。2020年2月4日、名古屋大学の永岡勝俊教授と佐藤勝俊招へい教員らの研究チームは、温和な条件下でアンモニアを効率よく合成できる新しい触媒を開発したと発表しました。従来の触媒と比較して5倍以上もの活性向上を実現したというこのニュースは、多くの科学技術ファンから大きな注目を集めています。
SNS上でも「工業的なエネルギーコストが劇的に下がる可能性があるのでは?」「環境負荷の低い未来が現実味を帯びてきた」といった期待の声が続々と寄せられています。これまで約1世紀にわたり主流だった「ハーバー・ボッシュ法」は、セ氏450度を超える高温と200気圧を超える高圧環境を必要とし、多大なエネルギー消費が課題となっていました。今回、この常識を覆す技術が登場したことは、化学業界だけでなく、脱炭素社会を目指す世界にとって非常に意義深い一歩だと言えるでしょう。
革新的な触媒技術とその可能性
研究グループは、貴金属であるルテニウムを活用した触媒を改良することでこの成果を手にしました。触媒とは、化学反応を促進させる助っ人のような物質のことです。彼らはルテニウムとバリウムを水素雰囲気下でセ氏700度という高温で加熱処理し、数ナノメートルという極めて微細な粒子の周りに他の元素を配置する構造を作り上げました。「ナノ」という単位は10億分の1メートルを指し、このレベルで物質を精密に制御することが、反応効率の飛躍的な向上に直結したのです。
実際にセ氏350度、10気圧という、従来の工業プロセスに比べれば非常に穏やかな条件でアンモニアを合成したところ、一般的なルテニウム触媒の5倍以上の効率を確認できました。特筆すべきは、50時間にわたる連続使用でも効率が全く低下しなかったという耐久性の高さです。私個人としても、理論上の成功に留まらず、実用性を左右する安定性を実証したこの結果には、技術革新の凄みを感じずにはいられません。今後は、工業的な規模に拡大してもこの高い性能を維持できるかどうかが焦点となるでしょう。
工業的に広く用いられている元素をベースにしているため、実用化へのハードルが比較的低い点もこの技術の大きな強みです。研究チームは、協力企業を募りながら、10年後には大型装置を用いた実証実験を見据えています。今後、さらなる圧力の最適化などによって効率はさらに高まる見込みであり、私たちが当たり前のように使っている化学製品が、より環境に優しく作られる未来は確実に近づいています。今後の展開から目が離せませんね。
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