製造業の勝者は誰だ?シーメンスに追随し加速する日本のIoT戦略転換とオープン化の潮流

2020年2月4日、産業界のデジタル化を象徴する「IoT(モノのインターネット)」のあり方が、大きな転換点を迎えています。かつて2013年にGEが発表した世界初のIoTプラットフォーム「プレディクス」は、大きな注目を集めました。しかし、ハードウェアとソフトウェアをセットで導入しなければならないという制約が、顧客企業には「囲い込み」と受け止められ、期待されたほどの広がりを見せませんでした。

このGEの挫折を教訓とし、現在、ドイツの巨大電機メーカーであるシーメンスが主導権を握ろうとしています。シーメンスが掲げるのは、ソフトウェアの価値を最大化する戦略です。この動向を注視していた日本の製造業大手も、次々と独自の戦略修正を余儀なくされています。競争の激しい製造現場において、かつてのような「自社製品のみで完結させる」という手法が、通用しなくなりつつあるのです。

スポンサーリンク

日本の製造業が挑む「格安」と「オープン」の戦略

産業用ロボットのトップランナーであるファナックも、大きな舵取りをしています。同社は「フィールドシステム」というIoT基盤を展開していますが、2019年夏から戦略を大きく切り替えました。複雑な機能の提供よりも「設備の稼働監視」という目的に特化し、年間で数千円という驚きの格安料金でサービスを提供し始めたのです。

このサービスの最大の魅力は、自社製のロボットだけでなく、他社メーカーの生産設備まで監視できる点にあります。この柔軟なアプローチによって、導入のハードルが高いと感じていた中小企業までも顧客に取り込もうという狙いです。SNS上でも、「この価格設定なら中小工場でも導入しやすい」「メーカーの垣根を超えた運用は合理的だ」と、実用性を高く評価する声が上がっています。

一方、東芝はさらなる進化を遂げようとしています。これまで同社は独自技術を重視してきましたが、家電から自動車まで多岐にわたる産業界との連携を強化するため、システムの「オープン化」を推進することに決めました。技術仕様を広く公開することで、他社製品との接続を容易にし、エコシステムを構築しようとしているのです。

さらに東芝は、2020年春にもソフトバンクや京セラといった異業種と手を組み、IoTビジネスを推進する企業連合を立ち上げる見込みです。私個人としても、この「オープン化」こそが今後の製造業の生存戦略において、最も重要な鍵を握ると確信しています。特定の企業だけで全ての課題を解決する時代は終わり、多様なプレーヤーが共存する環境こそが、次なるイノベーションを生む土壌になるはずです。

ソフトウェアの価値を重視し、オープン化へとかじを切る各社の戦略。これらのアプローチが接近するにつれ、今後は顧客を獲得するための熾烈な競争が繰り広げられることは避けられません。私たち消費者の生活を支える製品が、IoTの進化によってどれほど便利に、そして安価になるのか。2020年という年は、その真価が問われる重要な局面となりそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました