日本の金融市場に、大きな転換点が訪れようとしています。2019年12月20日、国内債券市場において長期金利の指標となる「新発10年物国債」の利回りが、前日比で0.015%上昇し、0.010%で取引を締めくくりました。これは2019年3月上旬以来、実に9カ月ぶりのプラス圏浮上となります。
「長期金利」とは、返済期間が10年といった長いお金の貸し借りに適用される利息の割合のことです。これがプラスになるということは、長らく続いた「お金を預けても増えないどころかマイナスになる」という異常な状況から、市場が脱し始めたことを意味しています。SNS上でも「ついにマイナス金利が終わるのか?」「景気が上向くサインだと嬉しい」といった期待の声が広がっています。
世界経済の不透明感が和らぎ、各国の金融政策が変化
なぜ今、金利が上昇しているのでしょうか。その大きな要因は、米中貿易交渉の部分合意や、イギリスのEU離脱問題に一定の道筋が見えたことにあります。世界経済を覆っていた霧が晴れ始めたことで、各国の中央銀行が無理に金利を下げて景気を支える必要がなくなると、投資家たちが予測し始めたのです。
実際、2019年12月19日にはスウェーデンの中央銀行がマイナス金利の解除を決定しました。マイナス金利は、無理に景気を刺激する反面、銀行の収益を圧迫したり、私たちの年金運用の効率を悪化させたりといった「副作用」も懸念されています。日本国内でも、これ以上の金利引き下げを伴う追加緩和への期待は、現在急速に後退しています。
さらに、日本銀行の黒田東彦総裁が2019年12月19日の会見で、期間が非常に長い「超長期債」の利回りがもう少し上がっても良いという趣旨の発言をしました。これが投資家の間で「金利上昇を容認する姿勢」と受け止められ、金利を押し上げる原動力となりました。市場関係者からは、これを機に長期金利も連動して上がっていくのではという予測が飛び出しています。
編集部の視点:プラス金利定着への期待と注視すべきポイント
今回のプラス圏浮上は、デフレ脱却を目指す日本にとって、一つの明るい兆しと言えるでしょう。金利が正常化に向かえば、金融機関の経営健全化が進み、家計の貯蓄にも恩恵が及びます。私個人としても、過度な緩和による歪みが是正されるプロセスは、健全な経済循環を取り戻すために避けては通れない道だと考えています。
ただし、金利がプラスになれば国債を買い戻そうとする動きも強まるため、当面は0%付近での推移が続くでしょう。今後の鍵を握るのは、米中関係の行方と世界的な景況感の改善です。2019年末から2020年にかけて発表される各国の経済指標が、私たちの生活に直結する金利の行方を決定づける重要な指針となるはずです。
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