農水ファンド「A-FIVE」が廃止へ?江藤農相が示す農業投資の未来と累積損失の教訓

日本の農林水産業を次世代の成長産業へと進化させるべく誕生した官民ファンド、農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)がいま、大きな岐路に立たされています。2019年11月22日、閣議後の記者会見に臨んだ江藤拓農林水産大臣は、同機構の存続について「廃止を含めたあらゆる選択肢を検討している」という極めて踏み込んだ方針を明らかにしました。

このニュースが流れると、SNS上では「血税を使った投資の失敗ではないか」という厳しい批判が相次ぐ一方で、「リスクを負う農業支援の難しさを物語っている」と、官民連携のあり方を再考すべきだという慎重な意見も目立ちます。農林水産業の6次産業化、つまり生産から加工・販売までを一体化して付加価値を高める試みを支えるはずだった同機構ですが、現実は厳しい壁に直面しています。

A-FIVEが抱える最大の課題は、投資先の経営不振に伴って積み上がった膨大な累積損失にあります。江藤農相も会見の中で、これまでの経営成績について「反省すべき点が多すぎる」と率直に認め、投資活動が当初の期待を大きく下回る結果に終わったことを真摯に受け止めています。このような状況から、財務省と農林水産省は、2020年度末にも新規の投資を停止する方向で最終的な調整に入りました。

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支援継続と「出資型農政」へのこだわり

たとえ組織が廃止されることになっても、すでに資金を受け取っている事業者を見捨てるわけではありません。江藤農相は「急に資金を引き揚げれば現場は混乱する」と懸念を示し、投資先が経営を継続できるよう、丁寧な支援を続ける意向を強調しました。既存のパートナーに迷惑をかけないという配慮は、国の責任として当然の姿勢であり、現場の不安を和らげる重要なメッセージとなるでしょう。

注目すべきは、今回の失敗をもって「出資」という手法そのものを否定していない点です。農相は、従来の補助金に頼り切った農政から脱却し、民間資金を活用した「出資による農業経営」という考え方は、今後ますます重要になると語っています。これは、自立した強い農業を育てるためには、リスクを共有しながら成長を促すマネーの循環が不可欠であるという、強い信念の表れと言えるかもしれません。

現在、政府内ではA-FIVEの後継となる組織や、新たな支援の仕組みについても検討が急ピッチで進められています。投資の目利き力をどう高めるのか、そしていかにして持続可能な産業構造を築くのか。江藤農相は「2019年内には結論を出したい」と意欲を見せており、その決断が日本の農業の明日を左右することになりそうです。

私個人の見解としては、単なる組織の解体で終わらせるのではなく、なぜ損失が膨らんだのかという原因究明を徹底すべきだと考えます。失敗を糧にして、真に農業者の力となる柔軟な金融システムが再構築されることを願って止みません。単なる「お上」からの支援ではなく、市場原理と農業の特殊性が調和した新しい形の官民連携を、私たちは注視していく必要があります。

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