日本の農林漁業を救う切り札として期待された官民ファンド、農林漁業成長産業化支援機構(通称:A-FIVE)が、大きな岐路に立たされています。2019年11月27日現在の状況によれば、同機構は2020年度末にも新規投資を停止する見通しとなりました。巨額の公金を投じながら、当初掲げた「1次産業の成長」という理想とは裏腹に、厳しい現実に直面しているのです。
2013年に設立されたA-FIVEの主な役割は、農林漁業の「6次産業化」を支援することでした。これは、生産者が加工や販売までを手掛けることで付加価値を高める手法を指します。地方銀行などと協力して出資を行うこの仕組みは、補助金よりも自由度が高く、公的なバックアップによって企業の信用力が高まるという大きなメリットを武器に、農水省が力強く推進してきた背景があります。
しかし、その実績は芳しいものとは言えません。投資先の経営不振が相次ぎ、評価損を合算した累積損失はついに100億円規模にまで膨れ上がってしまいました。ネット上でも「血税の無駄遣いではないか」「結局、天下り先の確保だったのか」といった厳しい批判が噴出しています。成長を促すための資金が、結果として成果を生まずに消えていく現状を見れば、今回の停止判断は遅すぎたと言えるほど当然の帰結でしょう。
官民ファンドが抱える構造的課題と「ゾンビ企業」の懸念
そもそも1次産業は、古くから多様な補助金制度によって支えられてきました。現場からは「実績作りのために無理に投資を受けたのではないか」という疑問の声も漏れ聞こえます。本来、産業を育てるために必要なのは、単なる資金のバラマキではなく、民間が自由に創意工夫を凝らせる環境整備です。非効率な体制を延命させるだけの支援は、かえって新陳代謝を阻害する毒になりかねません。
この問題はA-FIVEに留まりません。アベノミクスの旗印のもと、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)やJOIN、JICTといった官民ファンドが乱立しましたが、その多くが赤字に苦しんでいます。これらは「ゾンビ企業」と呼ばれる、自力で生き残る力のない企業を公金で延命させているのではないか、という指摘が以前から絶えませんでした。財務省が監視を強める方針ですが、抜本的なメスを入れる時期が来ています。
私は、政府主導の投資ビジネスには限界があると感じて止みません。リスクを取るべきは本来民間であり、国は規制緩和や技術革新を支えるインフラ作りに徹するべきでしょう。失敗を認めて撤退することは、次なる健全な産業育成への第一歩です。2019年というこの転換点を、形骸化した支援のあり方を見直し、真に競争力のある農林漁業を構築するための教訓にしなければならないと強く確信しています。
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