「キャッシュレス決済が普及しているはずなのに、なぜかATMの利用が増えている」――そんな不思議な現象が、2020年2月6日現在の日本で起きています。セブン銀行のATMでは、2019年9月に1台あたりの利用件数が6年ぶりに前年を上回る結果となりました。一体、私たちの生活の中で何が起きているのでしょうか。
実は、この逆転現象の背景には、スマホ決済に対する根強い「不安」が存在します。ある会社員の方は、個人情報をアプリに紐付けることに抵抗を感じ、わざわざATMで現金を引き出し、それをスマホ決済へチャージするという手間を選んでいます。過去に起きた「セブンペイ」などの不正利用事件が、セキュリティに対する警戒心を高めているのです。
「還元」頼みの危うさと、見えてこない収益モデル
私たちがスマホ決済を使う最大の動機は、多くの場合「ポイント還元」です。しかし、2019年11月の日経リサーチの調査によれば、政府のポイント還元事業が2020年6月に終了した後、キャッシュレス決済の利用頻度を減らす、あるいは使わなくなると回答した人が18%にのぼります。これでは、本当の意味での普及とは言えません。
さらに切実な問題は、商店街の現場でも発生しています。ポイント還元事業が終われば、加盟店が支払う手数料の上限設定が撤廃されるケースが相次いでいます。現在は無料や低価格で提供されている決済手数料も、今後は引き上げられる可能性が高く、小売店からは「還元終了後に継続を考え直す」という悲鳴が上がっているのです。
私自身、キャッシュレス化は社会を効率的にすると信じていますが、この現状は少し歪んでいるように感じます。運営会社は決済データを使って収益化を図る計画でしたが、ポイント目的の少額決済データには偏りがあり、マーケティングに活用するのは困難なのが実情です。
SNS上でも「ポイントキャンペーンが終わったら、また現金に戻るかもしれない」「手数料が高くなると結局店が困る」といった冷めた声が散見されます。目先の還元競争に頼り切ったモデルでは、持続可能な未来を描くことはできません。真のキャッシュレス社会を実現するには、セキュリティの信頼構築と、事業者・加盟店・消費者の誰もが納得できる「公正なビジネスモデル」の再構築が急務でしょう。
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