全国にファンを持つ人気ベーカリーレストランを展開するサンマルクホールディングスが、大きな転換期を迎えようとしています。同社は次期社長として、現在41歳の若さである難波篤執行役員管理本部長を抜擢する人事を固めました。2年足らずの間に2度もトップが交代するという異例の事態に、業界内だけでなくSNSなどでも今後の動向への関心が集まっているようです。株主総会を経て2020年6月下旬に予定されている取締役会で、正式に新体制へと移行します。
今回の劇的な世代交代の背景には、同社が直面している業績の伸び悩みがあります。これまで経営を牽引してきた片山直之前社長が2018年8月に急逝された後、専務から急きょ昇格した綱嶋耕二社長が舵取りを任されてきました。しかし、綱嶋社長は就任当初から健康面に不安を抱えていたとのことです。体調不良が日々の経営判断に少なからず影を落としていた可能性は否定できず、退任後は治療に専念されることが発表されています。
直近の業績データを見てみると、2019年3月期の純利益は29億円となっており、これは2017年3月期の数字と比較すると実に3分の2にまで落ち込んでいる状態です。さらに2020年3月期の見通しも前期比で微増にとどまる予測となっており、かつての勢いを取り戻すには至っていません。こうした停滞感を一気に吹き飛ばすため、2000年代に成人を迎えた「ミレニアル世代」に近い年齢層の難波氏に、令和の新しい社業が託されることになりました。
新社長に就任する難波篤氏は、岡山大学工学部で化学を専攻した理系出身の異色なキャリアの持ち主です。卒業後は監査法人トーマツへ入社し、2012年に33歳の若さでサンマルクホールディングスへと転職されました。その後は公認会計士の資格を取得するなど、企業の財務や法的な運営を支える「管理畑(かんりばた)」と呼ばれる部門で頭角を現します。2018年には執行役員管理本部長に就任し、社内でも将来のリーダー候補として嘱望されていました。
ここで言う「管理畑」とは、営業や開発といった現場の最前線ではなく、人事や総務、財務や経理など、組織全体の基盤を統括してコントロールする専門領域を指します。難波氏はまさにこの分野のエキスパートであり、数字に基づいた冷静な状況分析と、組織のガバナンス強化に長けている人物です。生前の片山氏からも後継者の1人として目されていたというエピソードからも、その実力と信頼の高さがうかがえるでしょう。
2020年2月5日に発表された同社の2019年4〜12月期における連結決算では、売上高が前年の同じ時期と比べて1.8%増加しました。その一方で、人件費の高騰などが響き、経常利益は12.5%減少するという厳しい現実を突きつけられています。現在の外食産業は、日本の人口減少や少子高齢化という構造的な課題に直面しているだけでなく、足元では新型コロナウイルスの感染拡大による消費への影響も深刻に懸念されている状況です。
インターネット上では「41歳という若さで大手チェーンを率いるのは凄い挑戦だ」「サンマルクのカフェやレストランがどう変わるのか楽しみ」といった期待の声が寄せられています。その反面、ベテラン層からはその若さを危惧する意見も一部で囁かれているようです。逆風が吹き荒れる市場環境の中で、難波氏がどのような構想力と決断力を持って難局を乗り越えていくのか、新社長としての手腕に大きな注目が集まることは間違いありません。
筆者の視点としては、この41歳という若いリーダーの誕生を大いに歓迎したいと考えております。激変する現代のビジネス環境において、過去の成功体験に縛られない柔軟な思考を持つ若いトップの存在は、企業の持続的な成長に不可欠だからです。財務の専門家である難波氏が、その緻密な分析力とミレニアル世代ならではの新しい感性を融合させることで、サンマルクに革新的な風を吹き込んでくれることを期待してやみません。
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