日本の夏の風物詩ともいえる「クールビズ」が、大きな転換期を迎えようとしています。環境省は2019年11月28日、これまで国が一律で定めていた実施期間や設定室温の指針を、今後は設けずに各企業や個人の裁量に委ねる方針を明らかにしました。2005年からスタートし、すっかり社会に根付いたこの習慣は、温室効果ガスの削減を目的とした軽装化の推進運動ですが、その役割が新たなステージへと進むことになります。
今回の刷新は、近年の働き方の多様化や、気候変動による気温の変化に柔軟に対応することが狙いです。小泉進次郎環境相も2019年11月01日の記者会見にて、画一的なルールのあり方を見直す考えを表明していました。現在は「5月から9月まで」といった枠組みがありますが、今後は地域ごとの気温差や個々の体調に合わせ、通年で自由に衣服を選択できるような環境づくりが加速するでしょう。
業界に広がる波紋と「28度設定」の真実
環境省が主導してきたキャンペーンは現在約20種類に及びますが、今後はこれらを4分の1程度まで削減し、業務の効率化を図る予定です。しかし、この「一律設定の廃止」に対し、衣料品業界からは戸惑いの声が上がっています。これまでは国が期間を明示することで、衣替えのタイミングに合わせたプロモーションを展開しやすかったのですが、指標がなくなることで商戦のメリハリが失われるのではないかという懸念が広がっているのです。
ここで改めて整理しておきたいのが、「室温28度」という指標の解釈です。これはエアコンの設定温度を指すのではなく、あくまで「部屋の温度」を指す専門的な基準なのですが、言葉だけが独り歩きして「暑くて仕事にならない」といった不満を招いた側面もありました。SNS上でも今回のニュースに対し、「ようやく地獄の暑さから解放される」と歓迎する声がある一方で、「基準がないと逆にネクタイを外すタイミングが分からない」と困惑する意見も散見されます。
編集部が考える「真のクールビズ」への期待
私は今回の見直しを、日本人の「同調圧力」から脱却するための大きな一歩だとポジティブに捉えています。国にお墨付きをもらわなければ服も選べないという現状こそが、どこか不自然だったのではないでしょうか。特に近年の異常気象を考えれば、暦の上での期間設定には限界があります。企業が自律的にルールを決め、社員がその日の天候を見て装いを選ぶことこそ、真のスマートな働き方だと言えるでしょう。
もちろん、小売業界にとっては戦略の練り直しが必要になるでしょうが、これは「機能性ウェア」を通年で提案できるチャンスでもあります。環境省が関与を縮小させることで、現場にはよりクリエイティブな工夫が求められるはずです。一律の号令に頼る時代は終わり、これからは一人ひとりが「地球にも自分にも心地よい選択」を主体的に行う、成熟した社会へのアップデートが期待されています。
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