育児用品の専門店として絶大な信頼を集める「アカチャンホンポ」が、大きな転換期を迎えようとしています。株式会社赤ちゃん本舗の佐藤好潔社長は、2019年11月22日、台湾という新たな市場に対する並々ならぬ意欲を明かしました。同社は2019年10月に、待望の台湾第1号店をオープンさせたばかりです。1999年にシンガポールから撤退して以来、約20年という長い年月を経て、再び海外へと大きく舵を切った同社の決断は、業界内外で大きな注目を集めています。
今回の台湾進出を後押ししたのは、日本国内での「インバウンド需要」の高まりでした。訪日外国人観光客の間でブランドの認知度が飛躍的に向上したことが、再進出の強力な追い風となったのでしょう。SNS上でも「台湾の友達が日本のアカチャンホンポを欲しがっている」「日本の安心・安全な品質が海外で評価されるのは嬉しい」といった期待の声が数多く寄せられており、現地のパパやママたちからの熱視線を感じずにはいられません。
興味深いのは、インバウンド売上の約6割を占める中国ではなく、あえて1.5割ほどのシェアにとどまる台湾を拠点に選んだ戦略です。佐藤社長は、台湾の共働き世帯の多さと、子ども一人あたりにかける教育・育児費用の高さに商機を見出しています。中国では特定の商品に人気が偏る傾向にありますが、台湾では幅広いカテゴリーの商品が満遍なく購入されるという利点があります。これは、同社の持つ豊富なラインナップを最大限に活かせる理想的な環境と言えるでしょう。
また、台湾独自の育児文化である「産後院」との連携も検討されているそうです。産後院とは、出産後の母親が約1ヶ月間滞在し、心身の回復と育児指導を受けるための専門施設のことを指します。こうした現地文化に深く入り込む姿勢こそが、単なる小売店に留まらない同社の強みとなるはずです。私は、このローカライズ戦略こそが、かつての撤退という苦い経験を糧にした、アカチャンホンポの真骨頂ではないかと考えています。
現在、国内市場ではユニクロやニトリといった異業種の巨人がベビー用品に参入し、かつてないほど競争が激化しています。さらに、孫への消費を支えてきた団塊の世代が高齢化することで、今後の国内景気の先行きには不透明感も漂っています。だからこそ、佐藤社長は台北などの都市部を中心に3〜5店舗の展開を掲げ、次なる成長の柱を海外に求めたのでしょう。少子化という課題を抱えるアジア圏で、同社がどのような「子育て支援」の形を提案していくのか、今後も目が離せません。
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