🔥【東京2020】インバウンドは「減る」!? 専門家が明かす五輪の経済効果と「外需誘引」の鍵

2020年夏に開催される東京オリンピック・パラリンピック。この一大イベントは、史上最多の訪日外国人観光客、すなわちインバウンドで日本があふれる、と期待している方も多いでしょう。しかし、意外なことに、野村総合研究所の三崎冨査雄氏は「2020年夏のインバウンド数は、今年(2019年)よりも減少する」と明言されており、その予測には驚きの声があがっています。

この見解の根拠として、東京大会とよく比較される2012年のロンドン大会のデータが挙げられます。ロンドン大会の開催期間中、具体的には開幕前月の6月から、大会が終了する8月まで、イギリスを訪れた外国人旅行客は、前の年の同じ月と比較して5%から10%も減少しました。さらに、パラリンピックが上旬まで行われた9月も、訪問者数はほぼ横ばいに留まったのです。

なぜ、世界的なスポーツの祭典であるオリンピック開催中に、かえって観光客が減少してしまうのでしょうか。その大きな理由として考えられるのが、航空券やホテルの予約が極めて困難になり、その価格も大幅に高騰してしまうことです。イギリス政府による推計では、ロンドン大会を目的としてイギリスを訪れた外国人は約46万人だったのに対し、逆に訪問を避けた人の数は約83万人にも上ったとされています。このデータからは、一時的なアクセスの困難さやコスト増が、通常の観光客を遠ざけてしまう影響の大きさが理解できます。

もちろん、日本でも規制や混雑を避けるため、来年(2020年)の夏は東京を離れて過ごす都民の方も多くなると思われます。そのため、大会会場から離れた都心部では、予想に反して比較的静かな夏になる可能性もありそうです。しかし、インバウンド観戦者の方々は、通常の訪英外国人のおよそ2倍もの平均消費額を持っていたため、ロンドン大会ではインバウンド消費そのものが減少することはありませんでした。つまり、訪れる人数が減っても、質の高い消費が見込まれるということです。

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🇬🇧ロンドン大会の教訓:経済効果は「外需誘引」へシフト

特筆すべきは、ロンドン大会後、インバウンドが順調に増加傾向を示した点です。それ以上に注目すべきは、大会が契機となって、海外からの対英投資(企業拠点設置など)や、イギリス企業の海外展開が加速したことです。オリンピック・パラリンピック期間中、競技の様子だけでなく、イギリスやロンドンの魅力に関する多種多様な情報が世界中に発信され、ブランドイメージが著しく向上したと考えられます。このブランドイメージの向上こそが、大会後の観光客増加だけでなく、イギリス企業と海外ビジネスの拡大に繋がったと分析されており、同じ効果は東京大会にも期待できるでしょう。

オリンピック・パラリンピックの経済効果というと、一般的にはインフラ整備や民間投資といった「国内需要」の創出、そして「観光」による消費が主なものとして語られてきました。しかし、三崎氏の分析によれば、その構造は変化しているようです。氏は「現在は新興国の開催効果は内需けん引ですが、成熟国では外需誘引です」と指摘しています。ここで言う「外需誘引(がいじゅゆういん)」とは、海外からの投資やビジネスを呼び込むことで経済効果を生み出すことを指す、専門用語です。国内の成熟した経済環境においては、国内消費を押し上げる「内需けん引」よりも、国際的なビジネスチャンスを引き寄せる「外需誘引」こそが、大きな経済的成果をもたらす鍵となる、という見立てです。

この「外需誘引」の効果を最大限に引き出すため、イギリスはロンドン大会に際して、世界各国のビジネスリーダーや投資家など、4,700名以上を特別に招きました。そして、ただ観戦するだけでなく、イギリス企業のプロモーションを目的としたイベントをセットで実施したのです。一見すると、スポーツの祭典としてはあまり馴染まない施策に感じるかもしれません。しかし、巨額な開催費用をしっかりと回収し、持続的な経済成長へと繋げるためには、その程度の徹底したビジネス戦略、すなわち「貪欲さ」が必要不可欠であると言えるでしょう。2019年6月21日時点で開幕まで399日となった東京2020大会も、このロンドンの教訓を最大限に活かし、日本経済の新たな飛躍に繋がる「外需誘引」の機会として捉えるべきです。インバウンドの短期的な変動に一喜一憂するのではなく、大会を通じて向上する日本のブランドイメージと、それを活かした対日投資の加速こそに、私たちは真の価値を見出すべきではないでしょうか。

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