日本の家電・電子部品大手であるパナソニックが、次世代のモビリティ社会を見据えた大きな一歩を踏み出そうとしています。同社は2020年12月末までに、時速20キロメートル程度で走行する「低速電気自動車(EV)」向けの主要駆動部品を、中国市場にて量産化する方針を固めました。この動きは、急速に変貌を遂げる世界の自動車産業において、部品サプライヤーとしての存在感を高める重要な戦略といえるでしょう。
今回量産が計画されているのは、モーターやインバーター、減速機などを一体化させた「Eパワートレイン」と呼ばれる基幹ユニットです。専門用語として馴染みの薄い「インバーター」とは、バッテリーの直流電流をモーター駆動用の交流電流に変換し、回転数やトルクを緻密に制御するための、いわば車両の心臓部を司る頭脳のような装置を指します。これらをユニット化することで、車両メーカーは設計の効率化を大幅に図ることが可能になります。
拡大するMaaS市場と低速EVの可能性
パナソニックがこのタイミングで中国での生産に踏み切る背景には、移動をサービスとして捉える「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の急拡大があります。MaaSとは、バスや電車、タクシー、さらにはシェアサイクルまで、あらゆる移動手段をITで統合し、予約から決済までを一括で行う概念です。特に中国の都市部や観光地では、ラストワンマイルを担う短距離移動の需要が爆発的に増えており、低速EVはその主役として期待されています。
SNS上では、このニュースに対して「ついにパナソニックが本気を出した」「日本の技術が中国の街中を走るのが楽しみ」といった前向きな反響が多く見受けられます。また、配送業界からも「小回りの利く低速EVが普及すれば、都市部の物流問題が解決するのではないか」という期待の声が上がっているようです。静粛性に優れ、環境負荷も低い低速EVは、私たちの生活圏をより快適に変えるポテンシャルを秘めているに違いありません。
個人的な見解としては、パナソニックのこの挑戦は、単なる部品供給に留まらない意義があると考えています。時速20キロメートルという設定は、一見すると控えめに感じられますが、歩行者との共存や安全性を最優先した「生活密着型」の設計思想が伺えるからです。中国という巨大な実験場で実績を積むことは、将来的に日本国内の高齢化社会における移動手段の確保という課題に対しても、非常に有効な解決策をもたらすのではないでしょうか。
2019年08月10日現在、世界のEVシフトは加速の一途を辿っていますが、ハイスペックな乗用車だけでなく、こうした「身近な足」としての進化も目が離せません。パナソニックが培ってきた高度な電気制御技術が、中国の広大な大地でどのような化学反応を起こすのか、非常に興味深いところです。2020年の量産開始に向けた準備が進む中で、同社がMaaS市場の覇権を握る一翼を担うことになるのか、今後の展開を注視していきましょう。
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