五感で感じる真っ黒な絵本!『くろはおうさま』が魅せる新しい色の世界とSNSの反響

私たちは普段、目で見て「色」を判断していますが、もしも視覚を使わずに色を感じるとしたら、一体どのような世界が広がるのでしょうか。そんな新しい気づきを与えてくれる、驚きに満ちたメキシコ生まれの翻訳絵本が今、多くの注目を集めています。2020年1月26日に紹介されたその作品のタイトルは、『くろはおうさま』(サウザンブックス社、宇野和美訳)です。本のページを開くと、そこには鮮やかな色彩ではなく、驚くほど真っ黒な世界が広がっています。

物語の主人公であるトマスは、目が見えない男の子です。彼は「黄色はからし、ぴりりと辛いけれど、ヒヨコの羽みたいにふわふわ」といった、独自の感性で色を表現します。本書は、彼が味覚や聴覚、触覚といった「五感(人間の持つ5つの感覚)」を通じて捉えている、豊かで生き生きとした色の世界を描き出しているのです。ただ目で見るだけでは決して気づけない、色の持つ新しい表情を教えてくれるのがこの本の大きな魅力と言えるでしょう。

最大の特徴は、すべてのページが黒一色で統一されている点にあります。挿絵は特殊な透明インクを使って立体的に浮かび上がらせる手法が取られており、読者は模様を指先でなぞって楽しむことが可能です。こうした触る絵本は、ユニバーサルデザイン(年齢や障害の有無に関わらず誰もが利用しやすい設計)の観点からも高く評価されています。日本版の特典として点字一覧表のほかに、特製の点字シートも特別に用意されました。

ネット上やSNSでも、この斬新な試みに対して数多くの好意的な反響が寄せられています。実際に手に取った読者からは、「黒だけでこんなに温かい世界が表現できるなんて感動した」という声や、「子供と一緒に指先で絵をなぞる時間が、今までにない新鮮な体験になった」といった驚きの口コミが相次いでいる状況です。目が見える子供たちにとっても、想像力を無限に広げる素晴らしいきっかけになっていることが、人々の言葉からひしひしと伝わってきます。

私自身、この絵本は単に「視覚障害への理解を深める本」という枠に収まらない、深い芸術性を持った一冊だと感じています。現代社会はスマートフォンなどの普及により、あまりにも視覚情報に頼りすぎているのではないでしょうか。だからこそ、指先で触れ、匂いを嗅ぎ、想像力を働かせて色を感じるというアプローチは、私たちの眠っていた感覚を心地よく刺激してくれます。大人にこそ、この贅沢な読書体験を味わってほしいものです。

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