私たちの社会や経済の動向を正確に把握するために欠かせない政府の公的統計ですが、近年その信頼性を揺るがす深刻な問題が相次いで発覚しました。こうした事態を重く見た政府は、統計の不正やミスを未然に防ぐための抜本的な対策に乗り出すことを決定いたしました。2020年度からは、すべての統計を対象とした事後検証が各府省に義務付けられる方針です。このニュースに対し、SNS上では「データの信頼性は政策の命命」「チェック体制の強化は当然」といった前向きな反響が多く寄せられています。
今回の決定の背景には、厚生労働省が実施している「毎月勤労統計」で発覚した深刻な不正問題が存在します。本来であれば東京都内の大規模な事業所すべてを調べる「全数調査」を行う計画だったにもかかわらず、2004年以降は勝手に一部を抜き出す「サンプル調査」へと変更されていました。全数調査とは、対象となる集団のすべてを漏れなく調べる手法のことで、国の政策を左右する極めて重要な統計で用いられます。しかし、現場の独断による手法の変更に加え、当時の元資料まで廃棄されていたことが判明したのです。
このずさんな管理によって、雇用保険の失業給付などが本来よりも少なく計算されてしまうという、国民の生活に直結する大問題へと発展してしまいました。さらに、2019年に政府が実施した統計の一斉点検では、特に重要とされる56の「基幹統計」のうち、なんと20以上で集計漏れや数値の誤りが見つかっています。基幹統計とは、国の経済政策や社会保障の基盤となる特に重要な統計のことで、その精度の高さが絶対条件となります。これほどの規模でミスが連発していた現状には、驚きを隠せません。
外部の目による厳しいチェックと専門人材の育成
政府は一連の不正について、各府省の現場任せになっていた体制や、点検の甘さが原因であると分析しました。そこで2020年3月中を目途に、点検項目をそろえた標準様式の指針を策定する予定です。新たな制度では、調査が計画通りに実施されたか、データの回収率や精度に問題がないかを共通項目で評価します。検証結果は総務省へ提出されたのち、専門家で組織される「統計委員会」へと報告され、改善のアドバイスを受ける仕組みです。結果はホームページで広く一般にも公開されます。
また、今回の改革ではデータの有効活用も見直されることになりました。利用頻度が低く、必要性が薄れてしまった統計に関しては、調査の中止や規模の縮小も視野に入れて検討が進められます。それと同時に、2020年度からは統計に関する研修制度の新設や、業務資格の認定といった専門人材の育成ロードマップも本格的に始動する見込みです。単にチェックの目を厳しくするだけでなく、現場で働く職員のスキル向上を並行して進めるアプローチは非常に合理的といえるでしょう。
統計は、国の未来を決める羅針盤であり、そこに嘘や間違いがあれば誤った政策へと導かれてしまいます。今回の事後検証の義務化や外部への情報公開は、失われた信頼を取り戻すための第一歩として大いに評価できる取り組みです。しかし、どれほど優れた制度を作っても、現場の意識が変わらなければ意味がありません。単なる形式的な書類提出に終わらせず、客観的なデータを重んじる文化が行政全体に深く根付くことを、編集部としては強く期待するとともに注視していきます。
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