スマホで目の検査ができる!タカギセイコーが開発した遠隔医療の新兵器「MS1」が在宅医療や眼科不足を救う理由

医療の未来を大きく変える画期的なガジェットが登場し、インターネット上で大きな注目を集めています。眼科向けの医療機器を専門に手がけるタカギセイコーが、最先端の医療ベンチャーであるMITAS Medicalと強力なタッグを組みました。両社が共同で生み出したのは、スマートフォンをドッキングさせて手軽に目の診察ができる革新的な簡易機器「MS1」です。2020年4月の展示会でお披露目されたのち、30万円台という導入しやすい価格帯での販売が予定されています。

このニュースに対し、SNSでは「これさえあれば離島や過疎地でも高度な眼科検診が受けられるのでは」「往診時に重い機材を持ち運ばなくて済むのは画期的」といった、期待に満ちた声が続々と寄せられています。特に在宅医療に携わる医療従事者からは、現場の負担を劇的に減らす救世主として早くも熱い視線が注がれているようです。専門知識がなくても扱えるという手軽さが、これまでにない新しい医療の形を予感させてくれます。

タカギセイコーは、眼科医が診療の際に必ずと言っていいほど使用する「スリットランプ」の国内大手メーカーです。スリットランプとは、目に細い帯状の光を照射することで、角膜の微細な傷や組織の濁りを拡大して観察するための細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を指します。本来は病院の診察室にドッシリと据え置かれている大型の装置ですが、今回発表された「MS1」は、いわばその機能をギュッと凝縮した「持ち運べるスリットランプ」なのです。

驚くべきはそのコンパクトさで、本体の大きさはわずか20センチメートルほど、重さに至っては230グラムという超軽量設計を実現しています。カバンにすっぽりと収まるサイズ感のため、訪問診療の際にも手軽に持ち運ぶことが可能です。光源には省電力なLEDランプを採用しており、どこでも手に入る単4電池で駆動する点も、災害時やインフラの整っていない環境では心強い味方になるでしょう。

使い方は非常にシンプルで、背面の左上にカメラが配置されているiPhoneなどのスマートフォンを装着するだけです。据え置き型の大型機械のように光の角度を細かく調整することはできませんが、主要な検査はこれ一台で十分にこなせます。物を見るために重要なレンズの役割を果たす「水晶体」の濁りや、目の表面にある「角膜」の損傷具合をしっかりと確認できるため、白内障といった深刻な病気の兆候を早期に発見できるのです。

この機器の最大の強みは、眼科の専門技能を持たない医師や看護師でも簡単に撮影ができる点にあります。撮影した目の画像をインターネット経由で専門医に送信すれば、遠く離れた場所にいても的確な診断を受けることが可能です。眼科医が不足している地方の救急医療現場や在宅医療はもちろんのこと、専門的な医療設備が行き届いていない発展途上国など、世界中のあらゆる場所での活躍が期待されています。

時代のニーズを捉えたこの挑戦は、企業の成長にも大きな追い風となりそうです。タカギセイコーの2019年7月期の売上高は27億円を記録しており、続く2020年7月期には30億円程度まで拡大することを見込んでいます。日本や北米を中心にスリットランプや手術用顕微鏡を届けてきた同社は、2018年に本社を建て替えて生産体制をパワーアップさせたばかりであり、満を持して遠隔医療という新市場へ攻勢をかけます。

筆者は、この「MS1」が医療格差を埋める決定打になると確信しています。目の病気は自覚症状が出にくく、気づいた時には進行しているケースが少なくありません。専門医がいない地域でも、スマホ一台で日常的にスクリーニングができる環境は理想的です。テクノロジーの力で誰もが等しく医療の恩恵を受けられる社会の実現へ向けて、日本のものづくり企業が放つこの一手が、医療のあり方をアップデートしていくでしょう。

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