イギリスの政治が今、激動の渦中にあります。2020年02月13日、ジョンソン首相は大規模な内閣改造(閣僚の入れ替え)を断行しました。この動きは、重要な政策をすべて首相官邸の主導で進めるという強硬な姿勢を明確に示すものです。欧州連合、いわゆるEUとの今後の難しい通商交渉や、国家の予算を決める財政運営を、すべて「官邸直轄」に置く体制が整えられました。しかし、そのあまりにも強引なやり方は、政権の要を失うという大きな代償を伴うことになったのです。
この劇的なニュースに対し、SNS上では「ここまで強引なやり方は独裁に近いのではないか」といった驚きや懸念の声が数多く上がっています。その一方で、「EU離脱を確実に成功させるためには、これくらい強力なリーダーシップが必要だ」と擁護する意見もあり、ネット上でも激しい議論が巻き起こっている状況です。首相への権力集中が急激に進む中、今後は政権内部や議会からも、このやり方に抵抗する動きが広がっていく可能性が十分に考えられるでしょう。
右腕の拒絶!ジャビド財務相が辞任を選んだ背景
今回の内閣改造の舞台裏では、驚くべきドラマが展開されていました。ジョンソン首相は改造に先立ち、政権のナンバーツーであるジャビド財務相に対して、留任する条件を突きつけたのです。その条件とは、ジャビド氏を支える財務相補佐官チームを全員解任することでした。これを自身のプライドと職務への介入と捉えたジャビド氏は、要求をきっぱりと拒否して潔く辞任を選択したのです。財務相という重職が自ら席を蹴る展開は、政権にとって大きな波紋を広げています。
この衝突の背景には、お金の使い道を巡る深い確執がありました。地方への公共投資を増やして大規模な歳出拡大(国がお金を使うこと)を狙う首相側近グループと、国家の信用を守るために財政規律(予算のバランスを保つルール)を維持したい財務相チームが対立していたのです。イギリスの公共放送BBCが報じたところによると、ジョンソン首相は辞意を示したジャビド氏を一切引き留めず、何よりも自分たちのコントロールを最優先したとされています。
財務省を完全支配!39歳の若き新財務相が誕生
去りゆく右腕の後任として、ジョンソン首相が急遽指名したのは、まだ39歳という若さのスナク財務副大臣でした。政治的な実績がまだ浅く、周囲からはやや「軽量級」であるとも評される彼をあえて起用した点に、首相の明確な意図が透けて見えます。さらに首相は、経済や財政の運営をサポートするための「首相と財務相の合同顧問チーム」を新たに設立しました。これによって、首相官邸が財務省の動きを完全に支配し、封じ込める仕組みが出来上がったのです。
私はこの動きについて、短期的な政策実現には有利であるものの、長期的なイギリス経済にとっては非常に危険な賭けであると考えています。国家のサイフを握る財務省が、首相のブレーキ役としての機能を失ってしまえば、どんぶり勘定による財政破綻を招きかねません。SNSで「イエスマンばかりを集めたイエスマン内閣だ」と揶揄されているように、周囲をイエスマンで固める手法は、国を誤った方向へ導くリスクを高めるでしょう。
対EU交渉も官邸直轄へ!「タスク・フォース」の始動
ジョンソン首相による官邸主導への執念は、財政面だけでなく、これからのEUとの自由貿易協定、通称FTAの交渉でも遺憾なく発揮されています。政権は2020年01月末にそれまでの「EU離脱省」をあっさりと解散させました。その代わりに、首相が直接目を光らせる40人の専門家集団「タスク・フォースヨーロッパ」を誕生させたのです。この混成チームが、これからの対外的な交渉のすべてをコントロールしていくことになります。
この重要チームを率いるのは、外交官であり首相顧問でもあるデービッド・フロスト氏です。彼は、伝統的にEU残留派が多数を占めていたイギリス外務省の中で、孤高の存在として離脱の必要性を一貫して訴え続けてきた人物と言われています。まさに首相の思想を体現する人物が前線に立つことで、イギリスは一切の妥協を排した強硬な姿勢でEUとの交渉に臨むでしょう。この官邸独裁体制が吉と出るか凶と出るか、世界が注目しています。
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