香港のテレビ業界を牽引してきた「電視広播(TVB)」の株価が反落し、投資家の間で大きな動揺が広がっています。同社は2020年02月14日の朝、2019年12月期の最終赤字が前の期よりもさらに膨らむ見通しであることを明らかにしました。この発表を受けて、市場では業績の先行きを不安視した売りが優勢となっています。
もともと2018年12月期において、すでに1億9908万香港ドルという巨額の最終赤字を計上していた同社ですが、2019年12月期はそれを上回る厳しい決算になりそうです。SNS上でも「香港のエンタメを支えてきたTVBがここまで追い込まれるとは」といった、驚きや落胆の声が多数寄せられています。
業績悪化の背景には、2019年06月頃から現地で本格化した反政府デモの影響が挙げられます。これによって企業の経済活動が停滞し、テレビ局の命綱である広告収入が激減してしまいました。番組制作や電波の維持といった固定費は、売上の増減に関わらず一定の割合で発生し続けるため、収入の減少がそのまま収益を圧迫する形となったのです。
さらに追い打ちをかけるのが、保有している社債の「減損損失」です。これは投資した資産の価値が低下し、回収が難しくなった場合に帳簿上の価値を削って損失として計上する手続きを指します。TVBは映画館を運営する「星美控股集団(SMI)」の社債を巡り、2018年12月期にすでに5億香港ドルもの損失を処理していました。
しかし、足元で猛威を振るう新型肺炎の感染拡大に伴い、中国本土では映画館の営業停止が相次いでいます。これにより、さらなる追加の減損損失を避けられない見込みとなりました。筆者の視点としては、社会的混乱と突発的な疫病というダブルパンチは同社にとってあまりに不運であり、今後はネット配信事業へのシフトなどドラスティックな改革が急務であると感じます。
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