これからの未来を左右する先端技術の世界で、驚くべき地殻変動が起きています。2020年2月12日、日本経済新聞と知的財産データベースを運営するアスタミューゼの共同分析により、衝撃的な事実が明らかになりました。人工知能(AI)や再生医療といった、今後10年の産業を支える主要な10のハイテク分野において、中国がなんと9分野で特許出願数トップに躍り出たのです。
このニュースに対し、SNSでは「中国の勢いが凄まじすぎる」「いつの間にここまで差がついたのか」といった驚きの声が溢れています。かつて技術大国と呼ばれた日本が、完全に置き去りにされている現状を危惧する意見も少なくありません。分析によると、2000年から2019年10月までの累計出願数は約34万件に達しており、そのうち中国が全体の4割を占める約13万件を記録して日米を圧倒しています。
巨大ネット企業「BATH」の台頭と凄まじい資金力
中国の大躍進を牽引しているのが、「BATH(バース)」と呼ばれる巨大IT企業群です。これは検索大手の百度(バイドゥ)、電子商取引のアリババ集団、SNS・ゲーム大手の騰訊控股(テンセント)、そして通信機器の華為技術(ファーウェイ)の4社を指します。彼らは豊富な資金力を背景に、自動運転やブロックチェーンといった幅広い領域で猛烈な特許出願を続けており、もはや無視できない存在となりました。
特許とは、発明を独占できる権利のことですが、これらを押さえられると他国は高い使用料を支払う必要が生じます。さらに、お互いの技術を融通し合う「クロスライセンス(特許の相互利用)」を結ぶことすら難しくなるでしょう。中国の2017年の研究開発費は50兆8000億円に達し、日本の3倍という圧倒的な規模を誇っています。まさに国を挙げた知財強国へのシナリオが、着実に形になっているのです。
問われる特許の「質」とアメリカの意地
ただし、量では中国が圧倒しているものの、技術の「質」に関しては依然としてアメリカが世界をリードしています。特許の影響力や将来性を示す独自指標で上位100社をランキングしたところ、実に64社を米国企業が占めました。米国は次世代の超高速計算を実現する量子コンピューターの分野で首位を死守しており、技術の核心部分では圧倒的な優位性を保っていると言えます。
これに対して日本勢は18社がランクインして2位につけており、中国勢はわずか1社に留まりました。数を発行することに注力してきた中国ですが、実質的な影響力を持つ技術の育成にはまだ課題があるようです。それでも中国は2019年1月、最高裁判所に知財専門の法廷を設置するなど、弱点である知財保護の法整備を急ピッチで進めており、油断できる状況ではありません。
かつての覇者・日本の凋落と編集部がみる今後の展望
かつて日本は、2005年まで30年以上にわたり特許出願数で世界一を維持していました。しかし、せっかく優れた技術を持ちながらも、それを国際的な標準にする「規格争い」や製品化の段階で後手に回り、多くの産業で国際競争力を失ってしまった苦い過去があります。今回の結果を見ても、全分野で2位以下に沈んでおり、日本のイノベーション停滞が浮き彫りになった形です。
私は、日本が再び輝きを取り戻すためには、単に技術を開発するだけでなく、それをいかにビジネスとして世界に普及させるかという「知財戦略」への転換が不可欠だと考えます。アメリカのトランプ政権はファーウェイへの制裁を決行するなど、中国の覇権を抑え込もうと躍起です。この熾烈な米中激突の狭間で、日本がどう生き残るのか、まさに国家の命運をかけた戦いが始まっています。
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