日本政府が、いよいよ本格的なデジタル改革へと舵を切り始めました。今秋から本格始動するITシステムのクラウド化を巡り、各省庁が共通して利用する基盤システムの構築を、米アマゾン・ドット・コム傘下の「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」に発注する方向で調整に入ったことが明らかになりました。2020年から2026年度までの整備・運用コストは、なんと300億円を超える見通しです。この大胆な決断は、長年「縦割り」と揶揄されてきた行政システムを根本から変える起爆剤になるでしょう。
政府は今後4年から8年をかけて、各省庁のシステムを原則としてクラウドへ移行する方針を掲げています。「クラウド」とは、自前のサーバーを持たずにインターネット経由でデータやシステムを利用する仕組みのことです。これにより、莫大なコストの削減だけでなく、常に最新のデジタル技術を取り入れられるようになります。自前での保守管理に追われていた職員の負担が減り、より重要な業務へ人員を効率配置できるため、行政の生産性向上に直結する素晴らしい施策だと私は確信しています。
今回、最初の大型案件となる共通基盤システムの設計において、政府は世界最大手であるAWSの仕様を前提に制度設計をスタートさせました。発注先としては、2020年の春に正式決定する予定です。実績や価格破壊とも言えるコストパフォーマンス、そしてサービスの質の高さにおいて、やはりAWSが頭一つ抜けていたという判断でしょう。これまでは総務省や財務省、人事院などがバラバラに管理していた人事・給与や文書管理など20種類ものシステムが、ついに一括管理されることになります。
これによるコスト削減効果は凄まじく、従来のシステムに比べておよそ3分の1にまで抑えられると試算されています。税金がより効率的に使われるという意味でも、この一元化は非常に有意義です。ネット上のSNSでも「行政効率化への大きな一歩」「ついに日本政府も重い腰を上げた」と、期待を寄せる好意的な声が数多く上がっています。一方で、「国内のIT企業にもっと頑張ってほしかった」「日本の重要データを海外ベンダーに委ねて本当に大丈夫なのか」といった、セキュリティ面の懸念を指摘する意見も散見されます。
セキュリティの壁と国内IT企業への大きな衝撃
もちろん、政府も安全保障への配慮を怠っているわけではありません。年金や防衛といった、特に機密性の高い各省独自のシステムについては、別の採用基準を設けて順次導入していく方針です。その重要な条件の一つが「日本国内にデータセンターを持つこと」です。法律でデータ管理を自国内に制限している中国企業の参入は極めて難しい状況ですが、データセンターを日本国内にしっかりと構えている米系大手企業であれば、この高いハードルを十分にクリアすることができます。
しかし、この決定が国内のIT業界に与える衝撃は計り知れません。日本政府全体のITシステム予算は総額で約7000億円にものぼり、これまではNTTデータなどの国内大手がその大半を受注してきたからです。私は、今回のAWS選定が国内企業への強力なカンフル剤になると考えています。セキュリティの担保は絶対条件ですが、単なる「国産」へのこだわりで国際競争に遅れるのは本末転倒です。国内勢にはこれを機に技術革新を遂げ、世界と戦えるクラウドサービスを育ててほしいと願っています。
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