米国の携帯通信業界に激震が走るビッグニュースが飛び込んできました。ニューヨークの連邦地方裁判所は2020年2月11日、業界4位のスプリントと同3位のTモバイルUSによる合併を認める判決を下したのです。これまでニューヨーク州などが「市場の健全な競争を邪魔する」として合併の差し止めを強く求めていましたが、地裁はその請求を退けました。この合併計画はすでに司法省や連邦通信委員会(FCC)からお墨付きを得ており、いよいよ実現に向けてカウントダウンが始まったと言えるでしょう。
この歴史的な決定を受けて、SNS上では「ついにアメリカの携帯業界も3強時代に突入か!」「通信品質の向上に期待したい」といったポジティブな声が数多く上がっています。その一方で、「競争が減って料金が高くなるのでは?」と将来の出費を不安視するユーザーの投稿も目立ち、トレンドを賑わせています。事実、訴訟を引っ張ってきたニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は、今回の判決がアメリカ国民にとって大きな損失になると猛反発しており、今後は上訴も視野に対応を考える構えです。
気になる市場の反応ですが、判決直後の2020年2月11日のニューヨーク株式市場では、スプリントの株価がスタート直後に70%以上も跳ね上がるというお祭り騒ぎになりました。合わせてTモバイルの株価も約10%上昇しており、投資家たちがこの巨大連合の誕生をどれほど待ち望んでいたかが分かりますね。新会社の契約数は合計で約1億3000万人に達する見込みであり、業界トップを走るベライゾンやAT&Tの背中を捉える巨大な第3の勢力が誕生することになります。
ソフトバンクグループの次なる戦略
今回の合併により、スプリントはソフトバンクグループ(SBG)の子会社から外れ、経営権はTモバイルの親会社であるドイツテレコムが握る形になります。ここで注目したいのがSBG側のメリットです。合併に伴い出資比率が下がることで、なんと4兆円を超えるスプリントの有利子負債(利息を付けて返さなければいけない借金)を連結決算から切り離すことができます。これだけの巨額な債務が消えることは、経営の健全化において非常に大きな意味を持つはずです。
当時のSBGは、シェアオフィス大手「ウィーカンパニー」の企業価値激減問題などで大きな痛手を負っており、ファンド事業の立て直しが急務となっていました。今回の債務切り離しによって、今後は投資事業へさらに集中できる環境が整うでしょう。私は、通信事業のオペレーターから完全な「投資会社」へとシフトしていくSBGの決断は、時代の流れを読んだ極めて大胆で面白い戦略だと評価しています。ただ、今後はファンドの成果に会社の運命がこれまで以上に左右されるため、よりハラハラする経営展開になりそうです。
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