日本建設機械工業会が2019年07月02日に発表した統計によると、2019年05月の建設機械出荷総額は、前年の同じ時期を1.8%上回る2049億円に達しました。これで8カ月連続の増加を記録したことになりますが、手放しで喜べる状況ではないようです。というのも、これまで全体を力強く牽引してきた海外向け、いわゆる「外需」が8カ月ぶりに減少へと転じ、成長の勢いに急ブレーキがかかったからです。
今回の統計で注目すべきは、外需が前年同月比0.4%減の1349億円に沈んだ点でしょう。建機メーカーの稼ぎ頭である油圧ショベルは596億円と堅調でしたが、トラクターなどの他機種が振るいませんでした。ここで言う「外需」とは、日本で作られた機械が海外のインフラ整備や採掘現場へ送り出されることを指します。この数字が陰りを見せた背景には、世界の経済動向を左右する根深い要因が隠されているようです。
明暗分かれる世界市場と「鉱山需要」の冷え込み
地域別の動きを詳しく見ていくと、北米市場は21カ月連続でプラスを維持しており、欧州や中国も依然として好調な波を維持しています。しかし、その一方でインドネシアをはじめとする東南アジアやアフリカ、中近東では需要が大きく後退しました。特にインドネシアでは、石炭などを掘り出す「鉱山機械」の注文が減少しています。鉱山機械とは、広大な採掘現場で土砂や資源を運ぶ超大型のダンプカーやショベルを指す専門用語です。
アフリカのウガンダでは、コマツなどが手がけていた大規模な道路インフラプロジェクトが完了したことも、出荷減の要因となりました。大きな事業が終われば、当然ながら新しい機械の導入も一時的に止まってしまいます。さらに、機械の故障を直すための「補給部品」の出荷も減っていることから、現地での機械の稼働率自体が低下している可能性も否定できません。世界各地の現場が、少しずつ静まり返り始めているのかもしれません。
対照的に、日本国内の「内需」は6.2%増の700億円と、こちらは明るい兆しを見せています。かつて2017年に実施された厳しい「排ガス規制」の影響で、買い控えによる需要の落ち込みが続いていましたが、ようやくその反動減が落ち着きを見せました。新しい規制に適合したクリーンなエンジンを搭載する建機への買い替えが、日本の建設現場で着実に進んでいる証拠といえるのではないでしょうか。
SNSの反応とエディターが読み解く建機市場の未来
このニュースに対し、SNS上では「ついに外需のピークが過ぎたのか」「北米頼みの状況が怖い」といった、世界景気の先行きを不安視する声が目立っています。建機の出荷額は景気の先行指標とも呼ばれるため、投資家の間でも警戒感が高まっているようです。私自身の見解としても、特定の巨大プロジェクト終了や資源価格の変動に左右されやすい現状は、メーカーにとって非常に舵取りが難しい局面にあると感じます。
今後の焦点は、好調を維持している北米や欧州の需要がどこまで粘り強く続くかに集まるでしょう。米中貿易摩擦などの不透明な国際情勢が影を落とす中、インフラ投資が停滞すればさらなる落ち込みも予想されます。日本の建機は世界最高峰の品質を誇りますが、これからは単なる「モノ売り」だけでなく、稼働状況をデータで管理するIoT技術などを駆使した、より付加価値の高いサービス展開が重要になるはずです。
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