クラウド界の巨頭である米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が、未来の計算機といわれる「量子コンピューター」の分野へついに牙を剥きました。2019年12月13日、AWS日本法人は米国で開催されたITカンファレンス「リ・インベント」の成果を報告する記者説明会を実施し、IT業界に大きな激震が走っています。
今回の発表で最も注目を集めたのは、量子コンピューターをクラウド経由で手軽に利用できる新サービス「アマゾン・ブラケット」の登場でしょう。量子コンピューターとは、従来のPCが「0か1」で処理するのに対し、量子力学の不思議な性質を利用して膨大な計算を並列で行う次世代マシンです。
SNSでは「ついにアマゾンが来たか」「量子計算が民主化される第一歩だ」といった驚きと期待の声が溢れています。このサービスでは、カナダのDウエーブ・システムズなど複数の新興企業が開発したハードウェアを、ユーザーがインフラの保守を気にすることなく比較・評価できる点が非常に画期的といえます。
筆者の見解としては、自社でハードを作らずに「プラットフォーム」として提供する戦略こそが、いかにもAWSらしい賢明な一手だと感じます。多様な方式が存在する量子計算の世界で、ユーザーに選択肢を与えることは、技術革新のスピードを劇的に早めるに違いありません。
5Gと融合する「超低遅延」の衝撃
AWSが量子計算と並んで2019年の重要キーワードに掲げたのが、通信のタイムラグを極限まで減らす「低遅延」の実現です。これを象徴するのが新サービス「AWSウェーブレングス」で、なんと携帯電話会社の5G通信網の中にAWSの計算資源を直接配置するという大胆な試みです。
通常、データはインターネットを経由する際に遅延が発生しますが、この仕組みなら通信時間を0.01秒(10ミリ秒)以下に抑えられます。これは、一瞬の判断が勝敗を分けるクラウドゲームや、端末側で高度な判断を行う「エッジAI」にとって、喉から手が出るほど欲しかった環境でしょう。
国内ではKDDIとタッグを組み、2020年前半には日本でもサービスが展開される予定となっており、私たちの生活がよりリアルタイムに繋がる未来はすぐそこです。AI開発を支える「アマゾン・セージメーカー・スタジオ」の拡充も含め、開発者にとっての「武器」が揃いすぎており、正直ワクワクが止まりません。
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