日本の技術力の象徴とも言えるNECが、次世代の計算技術として注目を集める「量子コンピューター」の分野で、いよいよ本格的な反撃に打って出ます。2019年12月20日に開催された事業説明会において、同社はカナダの有力スタートアップであるD-Waveシステムズとの戦略的協業を発表しました。かつて、量子コンピューターの心臓部となる素子の開発で世界を驚かせた老舗メーカーが、再び世界の表舞台で輝きを取り戻そうとしています。
量子コンピューターとは、従来のPCが「0か1か」で処理するのに対し、量子力学という微小な世界の法則を使い、膨大な計算を同時に行う超高速マシンのことです。NECは今回、この夢の技術を疑似的に再現した「擬似量子計算機」を用いた商用サービスを、2020年から開始する計画を明らかにしました。SNS上では「ついにNECが動いた」「日本の底力を見せてほしい」といった期待の声が数多く寄せられており、大きな関心を集めています。
世界初を成し遂げたD-Waveとの提携で加速する実用化
NECが手組相手に選んだD-Wave社は、2011年に世界で初めて商用量子コンピューターを世に送り出した先駆者です。彼らが採用する「量子アニーリング方式」は、膨大な選択肢の中から最適な答えを見つけ出す「組み合わせ最適化問題」に特化しています。例えば、物流のルート配送を最も効率的に組むといった複雑なパズルを、一瞬で解いてしまう能力を秘めているのです。すでにNASAなども同社の技術を試行しており、実績は十分と言えるでしょう。
今回の協業において、NECは約1000万ドル(約11億円)規模の出資を検討しており、両社の関係は非常に強固なものになりそうです。西原基夫取締役が「大きなステップだ」と自信をのぞかせた背景には、単なるハードウェアの提供にとどまらない深い戦略が存在します。注目すべきは、量子コンピューターのポテンシャルを最大限に引き出すための「ソフトウェア」を共同開発する点にあり、実用化の壁となっているソフト不足の解消を目指しています。
私自身の見解を述べさせていただくと、この提携は日本企業が再び世界のテック競争で主導権を握るためのラストチャンスだと感じています。グーグルなどの米系巨人が先行する中で、NECが持つ20年前からの基礎研究の蓄積と、D-Waveの実践的なノウハウが融合すれば、極めて強力なシナジーが生まれるはずです。単なるブームで終わらせず、社会のインフラを根本から変えるようなイノベーションを、この日本から発信してほしいと切に願っています。
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