2019年10月、世界中のIT業界に激震が走りました。米グーグルが、現代のスーパーコンピューターでも1万年かかる計算を、わずか200秒で完了させる「量子超越」を達成したと発表したためです。これは量子コンピューターが、既存のコンピューターの限界を超えた歴史的瞬間といえるでしょう。SNS上でも「ついにSFの世界が現実になった」「暗号資産のセキュリティは大丈夫なのか」といった驚きと不安が入り混じった声が数多く寄せられています。
そもそも量子コンピューターとは、ミクロな世界の物理法則である「量子力学」を応用した次世代の計算機を指します。従来のPCが「0か1か」で考えるのに対し、量子は「0でもあり1でもある」という不思議な状態を利用して、膨大な選択肢を同時に処理できるのが特徴です。しかし、この夢のマシンが汎用的に使われるには、まだ20年以上の歳月が必要だと予測されています。そんな中、日本企業は独自の戦略でこの分野をリードしようとしています。
富士通が提唱する「名より実」の選択!デジタルアニーラの驚異
グーグルが基礎研究で世界を圧倒する一方で、富士通はより実利を重視したアプローチを選択しました。同社が開発した「デジタルアニーラ」は、量子現象に着想を得つつも、常温で安定して動作する革新的なアーキテクチャを採用しています。これは、複雑な組み合わせの中から最適な答えを導き出す「組合せ最適化問題」に特化した技術です。専用の冷却設備が必要ないため、導入のハードルが極めて低いという点が大きな強みといえるでしょう。
現在、この技術は東レをはじめとする大手化学メーカーとの共同研究で、創薬や新素材の開発に投入されています。例えば、膨大な数の化合物から病気に効く分子の組み合わせを見つけ出す作業は、従来の手法では天文学的な時間が必要でした。デジタルアニーラはこのプロセスを劇的に短縮し、2019年11月06日現在、実用化に向けた歩みを着実に進めています。まさに、理想を追いつつも現実の課題を解決する日本らしい戦略ではないでしょうか。
インターネットメディアの編集者としての視点では、この「理論上の凄さ」よりも「今、何ができるか」を優先する姿勢を高く評価したいと感じます。技術革新は人々の生活に還元されてこそ価値があるからです。SNSで話題の「量子超越」という言葉の響きは華やかですが、私たちの健康や暮らしを直接変えるのは、案外こうした地道な国内技術の社会実装なのかもしれません。期待の技術がどのような未来を描くのか、今後も目が離せません。
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